ゴルフ界活性化に向けて重要な役割を担うティーチングプロの世界とは?
2013年4月19日(金)午後2:05
先月、日本プロゴルフ協会(以下、PGA)の倉本昌弘会長は東京オリンピックに向け、ジュニア育成やゴルフ普及活動の推進を目的として「PGAサポーターズクラブ(仮称)」を立ち上げ、寄付金を募ることを発表した。その一環として、アマチュアへのレッスン会を行うアカデミーの開設やジュニア育成のためのティーチングプロ派遣など、PGAが持つノウハウをゴルフ市場再生に繋げて行く取り組みを説明した。
ティーチングプロとは?
現在、日本全国のゴルフ場やゴルフ練習場など数多くの場所でレッスンが行われているが、そもそも「ティーチングプロ」とはどういったものなのか?
現在PGAが認定しているプロゴルファー資格には、「トーナメントプレーヤー(TP)」、「ティーチングプロ(TCP)」の2種類がある。
「トーナメントプレーヤー」とは、ゴルフ技術に特に優れ、トーナメントに出場するだけの技能、及び知識を有した者に付与される。一方、「ティーチングプロ」とは、ゴルフ指導技能に優れ、広範にわたるゴルフ知識及びPGA指導要領を取得した者に付与され、ゴルフの普及と発展を目的に活動している。「ティーチングプロ」にはA級とB級のライセンスがあり、PGAが定める講習会や実技試験により資格認定される仕組みとなっている。
現状はトーナメントプレーヤー(TP)が約2,000名、ティーチングプロ(TCP)が約3,000名ほどの割合だが、PGA関係者によると最近はプロテスト受験者よりティーチングプロ受験者の方が増加傾向にあるという。また、最近では一般の会社員をやめてティーチングプロを目指すという人もいるようだ。
そんなティーチングプロの日本一を決める大会が10/23?24に三重県の青山高原カントリークラブで開催された。
レッスンをしながらも自分自身の技術向上を目指すティーチングプロ
今年で16回目を迎える「PGAティーチングプロ選手権大会」。
全国14ヶ所で実施されるTCP研修会が「PGAティーチングプロ選手権大会」の一次予選も兼ねており、約1,400人余りが参加し、本戦を目指す。そして、予選会を勝ち抜いた120名が集結し日本一を目指して戦い、「PGAティーチングプロ選手権大会」の上位15名には翌年の日本プロ予選会1次予選の出場権が与えられる。
決勝大会に出場した120名の中には、トーナメントプレーヤー(TP)もいれば、ティーチングプロ(TCP)のA級認定者、B級認定者もいる。所属コースでラウンドレッスンをしている人もいれば、練習場のスクールで指導にあたっている人もいる。参加者の中には、藤田寛之プロのコンディショニングコーチを務める佐藤芳行プロも出場していた。
佐藤プロ「今は所属している葛城ゴルフ倶楽部でプロを目指す研修生を指導しています。いつの日かヤマハレディースオープン葛城で優勝するプロに育てるのが目標です。ティーチングするにもただ教えるだけじゃなく、技術向上は義務だと思います。そのためにも、こういった大会があればティーチングプロ全体のレベルアップにも繋がるので重要な大会です。」
本業と言われるレッスンやジュニアゴルファーを育成しながらも、自らの技術向上を目指すティーチングプロ。
今大会優勝したのは春日井カントリークラブ所属の竹内寿文プロ。昨年、最終日を首位で迎えながら優勝を逃した竹内だったが、今年は3アンダーで見事優勝を果たし、昨年のリベンジを成し遂げた。ラウンド後のインタビューでは「今回の優勝で少し知名度も上がると思いますし、今後のレッスンに繋げて行きたいと思います。」と語った。
ツアーで活躍するプロゴルファーと比較するとまだまだ認知度が低いティーチングプロの世界。今後のゴルフ界発展に向けた重点施策として「ティーチングプロの強化」を掲げるPGAはどのように捉えているのか?PGAで資格認証委員長を務める井上副会長はこのように語った。
井上副会長「ティーチングプロ選手権はレギュラー、シニア(50歳以上)、グランドシニア(60歳以上)の3大会開催しています。もともとティーチングプロが出場できる試合は少なかったのですが、“ティーチング(教える)の技術を高めるためには先ずは己の技術を高めなくてはいけない"という思いから開催するようになりました。また、ティーチングプロ選手権だけではなく、年に一度ティーチングプロアワードを開催することで、ティーチングプロの地位向上と技術向上を目指しています。」
大会の活性化を目指すPGA
ゴルフメーカーもPGAの取り組みに賛同し、ティーチングプロを応援している。昨年に引き続き株式会社FSTジャパンが協賛し、大会を盛り上げた。FSTジャパンの大石氏は「ゴルフ産業に携わる者として、今後のゴルフ界発展のために何か出来ることをしたいと思っていた。そんな折、この大会の話を聞いてアマチュアゴルファーと最も接点のあるティーチングプロを支援することが、ゴルフ普及に繋がると思い協賛させて頂いた。」と語った。
このほか、PGAでは大会の模様を収録しPGA公式YouTubeチャンネルで配信するなど大会のプロモーションに力を入れている。また、今大会は試験的にゴルフスコア管理アプリ「GOLF NETWORK PLUS」のLIVEスコア機能を活用した速報システムを導入。
PGA資格認証部の山内氏は「ツアーで使用する速報システムはコストもかかりますが、今回は無料のアプリということで試験的に導入しました。PGAのスタッフや競技委員がコース内でリアルタイムでスコアを把握できたり、会場以外でもティーチングプロの生徒さん達がリーダーボードを見ることが出来るので非常に画期的な取り組みだと思います。」と運営面の効果だけではなく、大会のプロモーションとして活用できると捉えていた。
今後もティーチングプロ選手権大会を盛り上げていきたいというPGA。ゴルフ市場再生に向けて、今後どのような取り組みをしていくのか、ティーチングプロの活動に注目していきたい。
ティーチングプロ選手権大会の模様はゴルファーズ倶楽部11月FRONT9にて紹介します。
初回放送は11/5(水)夜11時?放送。(※再放送あり) ぜひお楽しみに!