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海外女子

藍、両親の前で日の丸掲げ感涙!

2011年7月25日(月)午前8:45

 優勝を決めた瞬間、宮里藍の目に涙はなかった。しかし表彰式で苦しかった今シーズンの心境を吐露した途端、大粒の涙が頬をつたった。

 現地時間24日に最終ラウンドの競技を行った欧米両女子ツアー共催のエビアン・マスターズ(仏、エビアン・マスターズGC)。藍はツアー初優勝を飾った思い出の大会で、2位のステイシー・ルイス(米)に2打差をつけ逃げ切って今季初Vを挙げ、米ツアー通算7勝目を達成した。

「前半いい流れを作れてアドバンテージを奪うことが出来ました」とフロントナインの3バーディで一時リードを『4』まで伸ばした藍。しかし後半は「緊張とプレッシャー」から12番と14番でボギーを叩き、ルイスに1打差まで迫られる場面も。だが15番以降は落ち着いて自らのプレースタイルを貫き、昨年の8月以来およそ1年ぶりに勝利の美酒に酔いしれた。

 藍にとってこの優勝は2つの大きな意義のあるものとなった。まずはLPGAツアーに参戦するようになって初めて、両親の目の前で優勝を飾ることが出来たこと。4歳でクラブを握ってから厳しいが愛情溢れる指導でトッププロに導いてくれた父・優さん。そして苦しいときも嬉しいときも、常に変わらぬ笑顔で励まし続けてくれた母・豊子さん。2人の前で日の丸を掲げ、君が代が流れた表彰式で藍は万感の表情を浮かべていた。

 そしてもう1つは3月、日本を襲った未曾有の大震災。甚大な被害を受けた仙台の高校に通っていたこともあり、故郷の惨状は海外で戦う藍にとっても決して人ごとではなかった。チャリティプロジェクトを立ち上げ募金を募る活動などを行って来たが、暗い思いに沈み込んだ時期もある。そんな中でも「自分を見失わずにやった結果の優勝」が思い出の大会での1勝。「初優勝のときは自分のために戦ったけれど、今回は日本のために戦いました」というセリフに実感を込めた。

 今季初勝利までは時間がかかったが「焦りはなかった」と地に足を着けた努力が報われた。2年後、メジャー昇格が決まっている同大会で「また何度でも優勝したい」と前を向く。ゴルフ界の“なでしこ”は仲間からの“エビアンシャワー”の祝福を受け、輝く笑顔を振りまいた。
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