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「世界でゴルフというイベントが続く限り、日本の選手たちはこれからも活躍する」【岡本綾子のAIG女子オープンアフタートーク】
2025年8月7日(木)午後0:30

男女合わせて史上初めてウェールズ(ロイヤルポースコール ゴルフクラブ)で開催された今年の「AIG女子オープン」。日本人選手17人が参加する中、2日目にトップに立った山下美夢有選手がリードを守り切り、米ツアー&メジャー初優勝を飾りました。
その他の日本人選手も健闘し、9人が予選通過。勝みなみ選手が2位タイ、竹田麗央選手が4位タイと山下選手を含め3人がトップ10入りを果たしました。歓喜の優勝&激戦の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めた岡本綾子プロに振り返ってもらいました。(聞き手:ゴルフネットワーク実況 田中雄介)

田中 まずはコースの印象から伺いましょう。今回は、男女合わせて「全英オープン」史上初めてのウェールズ開催となりましたが、ロイヤルポースコールゴルフクラブはどんなコースでしたか。
岡本 これまでの全英のコースの中では、ティーショットが最も易しく打てたのではないかというのが第一印象です。フェアウェイのアンジュレーションが少なくて、セントアンドリュース オールドコース(スコットランド)で行われた昨年のように、ショットは完璧なのにキックが悪くてラフに入ったり、ポットバンカーにつかまるということはなかったですからね。
その一方で、“全英ならでは”という部分を感じさせるコースでもありました。例えばホールによっては、全長が430ヤードであって、(バンカーを避けるために)ティーショットで200ヤード運んで、セカンドで230ヤードを打たなければいけないところがあるとか。地面が硬いのでそういうことができるのですが、攻略するためにはそういうマネジメントやそれを実行するショット力も必要になってきます。
田中 コースの特徴から考えると、日本勢には有利な風が吹いていたといえるのでしょうか。
岡本 今年は、全英特有の風雨も厳しくなく、有利な部分もあったかもしれませんが、山下美夢有選手の優勝に関しては、彼女の実力だと思います。少し技術的な話をすると、山下選手に限らず世界的に、女子選手でもボールの近いところに立って上からヘッド入れられるようになってきていて、その分、ボールをコントロールしやすくなっている。今年、LPGAツアーで活躍している日本の選手たちはそういうスイングを身に付けていて、向こうの選手からも「いいスイングしている」と褒められていると思いますが、山下選手はその第一人者といえるでしょうね。
田中 私的には、メジャータイトルというのは体が大きくて、飛距離も出る選手が手にするものというイメージがあるのですが…。
岡本 そうですか? 私そんなイメージ持っていませんよ(笑)。力でネジ伏せるなんて、女子のゴルフでありえない。
田中 つまり小柄な山下選手のように、誰にでもメジャーで優勝するチャンスがあるということですね。
岡本 彼女の場合、特別なうまさを持っていますが、それは別として運も必要です。今回の山下選手でいえば、最終日の13番パー5で7~8mのパーパットを入れましたよね。あんなの普通ではあり得ない。また、勝みなみ選手が4番パー4のアプローチを直接入れてパーを拾ったけど、あれもあり得ない。勝選手のアプローチは、100回やっても入らないラインですからね。山下選手の場合は10回に1回は入るかもしれないけど、それを1回目でやってしまったところが彼女のスゴさ。数字を伸ばす人というのは何かしら運を持っているものです。
田中 なるほど、そういうことですね。話は変わりますが、優勝を決めた1打となるとどのショットになりますか。
岡本 15番パー3のティーショットかな。
田中 それは意外です。
岡本 風の中でのショートアイアンは、皆さんが思っている以上に難しい。あそこでワンオンできたのは大きかったと思います。それと、これは山下選手のプレーではありませんが、山下選手を追いかけていたチャーリー・ハル選手(最終成績は9アンダー、2位タイ)が、18番パー5のセカンドショットを右に外し、このホールでバーディーを取れなかったのも大きかったと思います。あそこでバーディーを取っていたら、山下選手とはワンストローク差。山下選手も焦っていたのではないでしょうか。
田中 勝った瞬間、笑顔もあるかなと思っていたのですが、笑わなかったですね(笑)。
岡本 少し涙を浮かべていましたね。
田中 そのほかに印象に残った選手はいましたか。
岡本 キム・ア・リム選手かな。最終日は出入りが激しかったけど、出場選手の中では最も高い技術を持っていると感じました。
田中 今シーズンは、5つメジャーのうち日本勢が2つ取りましたが、来年はいくつぐらいいけそうですかね。
岡本 そんなのわかりませんよ(笑)。ひょっとしたら取れないかもしれない。メジャー以外では優勝すると思いますけど。
田中 メジャーというのは、そう簡単に取れるものではないということですか。
岡本 そうですね。今回、決勝ラウンドに進んだ選手は特別ですけどね。だから期待はできるけど、この状態がいつまで続くか分からない。ただ、世界でゴルフというイベントが続く限り、日本の選手たちはこれからも活躍するでしょうね。
田中 今回は、初めてウェールズで開催された大会で、その第1回目の優勝者に山下美夢有の名前が刻まれるという新たな歴史を目撃できたわけですが、日本人選手には来シーズンも大いに期待したいですね。
(写真:Getty Images)
その他の日本人選手も健闘し、9人が予選通過。勝みなみ選手が2位タイ、竹田麗央選手が4位タイと山下選手を含め3人がトップ10入りを果たしました。歓喜の優勝&激戦の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めた岡本綾子プロに振り返ってもらいました。(聞き手:ゴルフネットワーク実況 田中雄介)
勝負を決めたのは15番の短いパー3「風の中でのショートアイアンは皆さんが思っている以上に難しい」

田中 まずはコースの印象から伺いましょう。今回は、男女合わせて「全英オープン」史上初めてのウェールズ開催となりましたが、ロイヤルポースコールゴルフクラブはどんなコースでしたか。
岡本 これまでの全英のコースの中では、ティーショットが最も易しく打てたのではないかというのが第一印象です。フェアウェイのアンジュレーションが少なくて、セントアンドリュース オールドコース(スコットランド)で行われた昨年のように、ショットは完璧なのにキックが悪くてラフに入ったり、ポットバンカーにつかまるということはなかったですからね。
その一方で、“全英ならでは”という部分を感じさせるコースでもありました。例えばホールによっては、全長が430ヤードであって、(バンカーを避けるために)ティーショットで200ヤード運んで、セカンドで230ヤードを打たなければいけないところがあるとか。地面が硬いのでそういうことができるのですが、攻略するためにはそういうマネジメントやそれを実行するショット力も必要になってきます。
田中 コースの特徴から考えると、日本勢には有利な風が吹いていたといえるのでしょうか。
岡本 今年は、全英特有の風雨も厳しくなく、有利な部分もあったかもしれませんが、山下美夢有選手の優勝に関しては、彼女の実力だと思います。少し技術的な話をすると、山下選手に限らず世界的に、女子選手でもボールの近いところに立って上からヘッド入れられるようになってきていて、その分、ボールをコントロールしやすくなっている。今年、LPGAツアーで活躍している日本の選手たちはそういうスイングを身に付けていて、向こうの選手からも「いいスイングしている」と褒められていると思いますが、山下選手はその第一人者といえるでしょうね。
田中 私的には、メジャータイトルというのは体が大きくて、飛距離も出る選手が手にするものというイメージがあるのですが…。
岡本 そうですか? 私そんなイメージ持っていませんよ(笑)。力でネジ伏せるなんて、女子のゴルフでありえない。
田中 つまり小柄な山下選手のように、誰にでもメジャーで優勝するチャンスがあるということですね。
岡本 彼女の場合、特別なうまさを持っていますが、それは別として運も必要です。今回の山下選手でいえば、最終日の13番パー5で7~8mのパーパットを入れましたよね。あんなの普通ではあり得ない。また、勝みなみ選手が4番パー4のアプローチを直接入れてパーを拾ったけど、あれもあり得ない。勝選手のアプローチは、100回やっても入らないラインですからね。山下選手の場合は10回に1回は入るかもしれないけど、それを1回目でやってしまったところが彼女のスゴさ。数字を伸ばす人というのは何かしら運を持っているものです。
田中 なるほど、そういうことですね。話は変わりますが、優勝を決めた1打となるとどのショットになりますか。
岡本 15番パー3のティーショットかな。
田中 それは意外です。
岡本 風の中でのショートアイアンは、皆さんが思っている以上に難しい。あそこでワンオンできたのは大きかったと思います。それと、これは山下選手のプレーではありませんが、山下選手を追いかけていたチャーリー・ハル選手(最終成績は9アンダー、2位タイ)が、18番パー5のセカンドショットを右に外し、このホールでバーディーを取れなかったのも大きかったと思います。あそこでバーディーを取っていたら、山下選手とはワンストローク差。山下選手も焦っていたのではないでしょうか。
田中 勝った瞬間、笑顔もあるかなと思っていたのですが、笑わなかったですね(笑)。
岡本 少し涙を浮かべていましたね。
田中 そのほかに印象に残った選手はいましたか。
岡本 キム・ア・リム選手かな。最終日は出入りが激しかったけど、出場選手の中では最も高い技術を持っていると感じました。
田中 今シーズンは、5つメジャーのうち日本勢が2つ取りましたが、来年はいくつぐらいいけそうですかね。
岡本 そんなのわかりませんよ(笑)。ひょっとしたら取れないかもしれない。メジャー以外では優勝すると思いますけど。
田中 メジャーというのは、そう簡単に取れるものではないということですか。
岡本 そうですね。今回、決勝ラウンドに進んだ選手は特別ですけどね。だから期待はできるけど、この状態がいつまで続くか分からない。ただ、世界でゴルフというイベントが続く限り、日本の選手たちはこれからも活躍するでしょうね。
田中 今回は、初めてウェールズで開催された大会で、その第1回目の優勝者に山下美夢有の名前が刻まれるという新たな歴史を目撃できたわけですが、日本人選手には来シーズンも大いに期待したいですね。
(写真:Getty Images)
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7月31日(木)~8月3日(日)