海外男子
日本人選手希望の星?平均飛距離270ヤード台ブライアン・キャンベルが今季2勝目を飾る【佐藤信人のPGAツアーアフタートーク】
2025年7月10日(木)午後1:53

- この記事のキーワード
TPCディアラン(イリノイ州)で開催された「ジョンディアクラシック」。先週の「ロケットクラシック」に続いてプレーオフにもつれ込み、最初のホールでパーをセーブしたブライアン・キャンベルがエミリアーノ・グリーロを倒して今季2勝目を飾りました。日本人選手は、星野陸也選手、久常涼選手、金谷拓実選手、大西魁斗選手の4人が出場。星野選手と久常選手が決勝ラウンドに進み、星野選手が9アンダーの41位タイ、久常選手が4アンダーの60位タイでフィニッシュしました。同大会の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めた佐藤信人プロに振り返ってもらいました。
優勝したのは、今季、「メキシコオープン at ヴィダンタワールド」で初優勝を飾ったブライアン・キャンベル。彼のことはあまりよく知らないのですが、そのキャラクターと彼の歩んできたキャリアとが私の中でマッチせず、非常に面白い選手だという印象を持っています。
見た感じは、感情をほとんど表に出さず、メディアに対する対応を見ても穏やかで、いかにも“いい人”で波の少ないタイプ。一方、キャリアの方は、大学時代はトッププレーヤーで、卒業後PGAツアーに挑んだものの、高い壁に跳ね返され、下部組織で長い下積みを強いられました。そして今季、8年ぶりにツアーに戻ってきたと思ったら、2月の「メキシコオープン」で初優勝。しかも、木に当たったボールがコースに戻るなどドタバタがあっての勝利でした。
優勝後も何となく落ち着かず、体調不良や怪我で試合を欠場したり、途中棄権をしたり。成績も不安定で、トップ10に入ったのは優勝した2回だけという辺りにも、穏やかな人柄とは異なるちぐはぐさを感じます。ゴルフの方は、ドライバーの平均飛距離が276ヤードとPGAツアーの中で最下位。ただ、その他のプレーが平均点以上というタイプで、今大会では、そんな彼の良さが出たといっていいでしょう。アイアンショットはほとんどピンに向かって飛んでいたし、パッティングを含めたショートゲームも素晴らしかった。プレーオフでもティーショットをセンターに置いて、セカンドでグリーンを捉らえるなど、相手のエミリアーノ・グリーロに確実にプレッシャーをかけていました。
今さらといわれるでしょうが、実はプレーオフが決まったときからキャンベルが勝ちそうな気がしていました。そう思ったのは、先にホールアウトしていたにも関わらず、練習場に向かわずラウンジでくつろいでいたから。ソワソワ感が全くなく、自信を持ってドシッと構えているように見えたからです。
また、ルールにより、先にホールアウトしたキャンベルからティーショットを打つことができたことも勝利に繋がった要因だと思います。先にティーショットをフェアウェイに運び、飛距離が出ない分先に打つセカンドショットも先にグリーンに乗せることができれば、相手にジワッとプレッシャーをかけられる。プレーオフ1ホール目は、まさにそういう展開になりました。平均飛距離276ヤードながら今季2勝。「ティーショットで差を付けられるから勝つのは難しい」といわれる日本人選手に、希望を与えてくれたのではないでしょうか。
その日本人選手ですが、今回は4人が出場して、星野陸也選手と久常涼選手が決勝ラウンドに進出。特に星野選手は、最終日、9バーディー、2ボギーの7アンダーと、見事なプレーを披露してくれました。2日目、17番、18番でバーディーを取ってギリギリで予選を通過。3日目は振るいませんでしたが、最終日に爆発してくれました。これが弾みになってくれればと思います。
久常選手は、このところ予選は確実にクリアしていて、トップクラスが出ない今回のような大会では優勝争いも期待できるのですが、今週は残念な結果に終わりました。ただ、今のプレーを続けていけば、70位以内も見えてくると思います。
さて、次戦は、久常選手と星野選手が「ジェネシス スコティッシュオープン」、金谷拓実選手と大西魁斗選手が、ハーストボーンCC(ケンタッキー州)で行われる「イスコチャンピオンシップ」に参戦します。「全英オープン」が近いこともあり、「イスコ」にはスター選手のほとんどが出場しないわけですが、こういう大会を勝ち上がってこそ次のステージがあります。金谷、大西両選手には是非とも上位を狙ってほしいとものです。
(写真:Getty Images)
穏やかな人柄とは裏腹にゴルフ人生は浮き沈みが激しいキャンベル
優勝したのは、今季、「メキシコオープン at ヴィダンタワールド」で初優勝を飾ったブライアン・キャンベル。彼のことはあまりよく知らないのですが、そのキャラクターと彼の歩んできたキャリアとが私の中でマッチせず、非常に面白い選手だという印象を持っています。
見た感じは、感情をほとんど表に出さず、メディアに対する対応を見ても穏やかで、いかにも“いい人”で波の少ないタイプ。一方、キャリアの方は、大学時代はトッププレーヤーで、卒業後PGAツアーに挑んだものの、高い壁に跳ね返され、下部組織で長い下積みを強いられました。そして今季、8年ぶりにツアーに戻ってきたと思ったら、2月の「メキシコオープン」で初優勝。しかも、木に当たったボールがコースに戻るなどドタバタがあっての勝利でした。
優勝後も何となく落ち着かず、体調不良や怪我で試合を欠場したり、途中棄権をしたり。成績も不安定で、トップ10に入ったのは優勝した2回だけという辺りにも、穏やかな人柄とは異なるちぐはぐさを感じます。ゴルフの方は、ドライバーの平均飛距離が276ヤードとPGAツアーの中で最下位。ただ、その他のプレーが平均点以上というタイプで、今大会では、そんな彼の良さが出たといっていいでしょう。アイアンショットはほとんどピンに向かって飛んでいたし、パッティングを含めたショートゲームも素晴らしかった。プレーオフでもティーショットをセンターに置いて、セカンドでグリーンを捉らえるなど、相手のエミリアーノ・グリーロに確実にプレッシャーをかけていました。
今さらといわれるでしょうが、実はプレーオフが決まったときからキャンベルが勝ちそうな気がしていました。そう思ったのは、先にホールアウトしていたにも関わらず、練習場に向かわずラウンジでくつろいでいたから。ソワソワ感が全くなく、自信を持ってドシッと構えているように見えたからです。
また、ルールにより、先にホールアウトしたキャンベルからティーショットを打つことができたことも勝利に繋がった要因だと思います。先にティーショットをフェアウェイに運び、飛距離が出ない分先に打つセカンドショットも先にグリーンに乗せることができれば、相手にジワッとプレッシャーをかけられる。プレーオフ1ホール目は、まさにそういう展開になりました。平均飛距離276ヤードながら今季2勝。「ティーショットで差を付けられるから勝つのは難しい」といわれる日本人選手に、希望を与えてくれたのではないでしょうか。
その日本人選手ですが、今回は4人が出場して、星野陸也選手と久常涼選手が決勝ラウンドに進出。特に星野選手は、最終日、9バーディー、2ボギーの7アンダーと、見事なプレーを披露してくれました。2日目、17番、18番でバーディーを取ってギリギリで予選を通過。3日目は振るいませんでしたが、最終日に爆発してくれました。これが弾みになってくれればと思います。
久常選手は、このところ予選は確実にクリアしていて、トップクラスが出ない今回のような大会では優勝争いも期待できるのですが、今週は残念な結果に終わりました。ただ、今のプレーを続けていけば、70位以内も見えてくると思います。
さて、次戦は、久常選手と星野選手が「ジェネシス スコティッシュオープン」、金谷拓実選手と大西魁斗選手が、ハーストボーンCC(ケンタッキー州)で行われる「イスコチャンピオンシップ」に参戦します。「全英オープン」が近いこともあり、「イスコ」にはスター選手のほとんどが出場しないわけですが、こういう大会を勝ち上がってこそ次のステージがあります。金谷、大西両選手には是非とも上位を狙ってほしいとものです。
(写真:Getty Images)
関連番組

2025 ジョンディアクラシック
7月3日(木)~7月6日(日)