神の子、セルヒオ・ガルシア（スペイン）が、初日から主役の座に居続けたのが今年の全英オープンだった。

　カーヌスティーGCを舞台にした第136回大会は、6アンダーと飛び出したガルシアが、初優勝に向けて突っ走る。第1ラウンドから2位のポール・マクギンリーに2打差、3位タイのアンヘル・カブレラ（アルゼンチン）、マイケル・キャンベル（ニュージーランド）らに3打差をつける単独首位。また、大会3連覇がかかるタイガー・ウッズ（米）は、4打差の8位タイとまずまずの位置につけた。

　第2ラウンドになって気温が低下し風が出てきたが、ガルシアは通算6アンダーをキープ。2位は通算4アンダーの崔京周（韓）に入れ替わる。タイガーはバリーバーンに打ち込み、ダブルボギースタート。通算1オーバー20位タイに後退した。

　第3ラウンドで通算9アンダーまでスコアを伸ばしたガルシアが、2位のスティーブ・ストリッカー（米）に3打差をつけ、メジャー初優勝に王手をかける。前年の欧州ツアー賞金王、パドレイ・ハリントン（アイルランド）、かつての大会王者、アーニー・エルス（南ア）らが通算3アンダー3位タイでこれを追い、通算1アンダー15位タイのタイガーは優勝争いから脱落した。

　だが、すんなりとは勝てないのがメジャー。最終ラウンド、コースの難しさと重圧に苦しむガルシアを尻目に、最終組の5つ前でプレーしていたアンドレス・ロメロ（アルゼンチン）が猛チャージ。単独首位で大詰めへ突入したが、土壇場でプレッシャーに押し潰されて崩れ、通算6アンダー。優勝は14番で鮮やかなイーグルを奪ったハリントンと、中盤以降なんとか持ち直したガルシアに絞られた。ハリントンは18番でバリーバーンにつかまってダブルボギー。ガルシアも18番をボギーとして、通算7アンダーでプレーオフへと突入した。

　4ホール決戦は、1ホール目でハリントンがバーディを奪い、ガルシアがボギー。2打差のまま4ホール目を迎えると、ハリントンがこのまま逃げ切り見事にメジャー初優勝。両手を天に突き上げて歓喜した。対照的に完全優勝も夢ではない位置からまさかの逆転負けを喫したガルシアは、がっくりとうなだれるしかなかった。

　ハリントンの優勝は、欧州勢にとってもうれしい結果だった。99年、同じカーヌスティーでポール・ローリー（スコットランド）が勝って以来、初めて欧州勢が手にしたクラレットジャグ。喜びもひとしおの結果となった。