弟がバンカーから難しいショットを寄せ、およそ1メートルのパーパットを兄が沈めた瞬間、イタリアチームが悲願の初優勝を達成した。

　28か国の代表選手を一堂に会し、世界一をかけて団体戦で激突したオメガ・ミッションヒルズ・ワールドカップゴルフは中国・深センのミッションヒルズGCを舞台に現地時間の29日、フォーサム（2人1組で1つのボールを交互に打つ）形式による最終ラウンドを行い、この日4アンダー68をマークしたイタリアチームが通算29アンダーで逆転勝利をもぎ取った。

　1打差の2位タイに初日から首位を走ったアイルランドチーム（グラエム・マクドウェル＆ローリー・マッキルロイ）と連覇を狙ったスウェーデンチーム（ロバート・カールソン＆ヘンリック・ステンソン）が入り、日本チーム（今田竜二＆藤田寛之）は通算22アンダー単独5位に終わった。

　今回イタリアチームはエドアルドとフランセスコのモリナリ兄弟が出場。兄のエドアルドは先週日本で行われたダンロップフェニックスで優勝を飾って波に乗っており、今季欧州ツアーで賞金ランク14位に入ったフランセスコとともに「自分たちのため、イタリアのために頑張る」と逆転勝利に意欲を見せていたが、念願が叶うと「こんなに強豪が揃った大会で優勝できるなんて…　苦しい戦いだった分、感激も大きい！」と喜びを爆発させた。

　勝負の決め手となったのは後半11番からの3連続バーディ。特に12番と13番では弟のフランセスコがロングパットを魔法のように続けざまにねじ込んでバーディを決め「あれが鍵だった。ベストを尽くせば行けるかもしれないと、2人の気持ちが高まった」と声を弾ませた。結局そこで後続に1打差をつけて頭ひとつ抜け出し、その後も息の合ったプレーで難局を乗り切った。

　距離が長い最終18番では兄が放ったセカンドショットがグリーン右のバンカーにつかまり一瞬ヒヤリとしたが、そこから弟が絶妙のリカバリーでピンそばにピタリ。1メートルのウイニングパットを兄が沈めるとグリーン上を飛び跳ねラテンのノリで感激を表現。「まだマイナーなゴルフがこれをきっかけにイタリアでもメジャーになれば」と兄弟が口を揃えた。今季下部ツアーのチャレンジツアーで3勝を挙げ、欧州ツアーへの昇格を決めている兄と、すでにヨーロッパで確固たる地位を築きつつある弟。来季はモリナリ兄弟が大暴れしそうな予感が漂っている。

　尚、3日目まで低迷していたアメリカチームがベストスコアの10アンダー62と爆発し通算18アンダーで前日の22位タイから7位タイに浮上。10番からの7連続バーディが光った。（STATS-AP)