全米オープンで見た選手心理「ピンそばより常に5mくらいに乗せてバーディを待つ方が良い」
2017年6月17日(土)午後8:37
松山英樹が7バーディ、ノーボギー「65」のビッグスコアを出して首位と2打差の8位に浮上。メジャー制覇がいよいよ現実味を帯びてきた「全米オープンゴルフ選手権」。大会2日目にゲスト解説として、今年のパナソニックオープンでツアー7勝目を挙げた久保谷健一プロが中継に登場。2011年にコングレッショナルCCで開催された全米オープンを含め、過去3度のメジャーで全て予選通過を果たしている久保谷プロ。現役プロゴルファーとして今回の全米オープンはどのように映ったのか?
今回のエリンヒルズGCはフェアウェイが意外と広いので、ティーショットに不安がない選手であればフェアウェイキープはそれほど大変ではないですね。あのコースでフェアウェイを狭くすればアンダーパーは1人か2人になると思いますが、フェアウェイにさえ置いておけばバーディチャンスもあります。
ポイントはあらゆる状況で「無理をしないこと」ですね。全体的にスコアが出ているので多少無理をしてしまうところがあります。フェスキューに入った時に必死でパーを取るのも大事ですが、確実にフェアウェイに出して絶対にダブルボギーを打たないよう二次災害を避けなくてはいけません。
セカンドショットでグリーンを外した時もピンそばにつけてパーセーブしたいと思ってしまいますが、それよりも「3?4mでもいいからグリーンに乗せて、あとはパッティングをがんばろう」とミスの許容範囲を持つことも大切です。
今回の全米オープンはプレーヤー目線で見てもフェアなセッティングで、非常に狭いエリアですがピンと同じ面に打ってくることができればご褒美があります。仮にボギーになったとしても、ショットが良い人は必ずバーディがきます。
最後はパッティングですね。グリーンのアンジュレーションがきつくて、複雑なラインが多いので日本のように「一先ずグリーンセンターに置いておこう」というのが通用しません。グリーンセンターでもピンと違う面であれば3パットもあります。見ていてもスネークラインが多いです。最後がカップに寄っていくようなスネークラインならまだ読みやすいですが、カップ際が離れていくスネークラインは非常に難しい。
重要なのは「ピンと同じ面に乗せること」と「ピンそばにつけ過ぎないこと」です。タップインできるなら良いですが、ラインも複雑なのでショートパットでも入れるのは難しいです。2mくらいにビタッとつけて決めることが出来れば良いですが、パットが入らないとダメージが大きい。チャンスにつけると自分に期待してしまうので、1回パットを外すだけで「あ?、やってしまった」とマイナスの考えが生まれて流れが悪くなります。難しいコースで簡単にバーディは取れないのでスコアメイクにはとにかく流れが大事です。
むしろ、外しても仕方ないなって思える程度の5?6mくらいに常に乗せておくのが良い。外しても2パットでパー、たまに入ると「よしっ!」とプラスの気持ちになって流れがくる。
2日目の松山選手は1番のパー5でバーディ発進を決めた後の2番でピンそば1.5mにつけました。外れたら嫌な距離でしたが、バーディパットを決めたのを見て「落ち着いたな。これで流れが来る」と思いましたね。
予選ラウンドはスコアが伸びているので、決勝に入るとUSGAは二桁アンダーには届かせないような厳しいセッティングにしてくると思います。3日目からは全米オープンたしい我慢比べになるでしょう。日本勢では小平選手に期待したいですね。「ドライバーが一番簡単です」って言うくらいですから、自分は曲がらないっていう自信が彼にはあります。いつもショットは良いのでパットさえ入れば良いスコアが出ます。優勝まで考えなくていいので、順位を一つでも上げていくゴルフを見せて欲しいですね。今日のゴルフをしていれば決勝ラウンドでも十分通用するので上位フィニッシュを期待したいです。
全米オープンゴルフ選手権
3日目 6/17(土) 午後11:00~翌午前9:00(LIVE)
最終日 6/18(日) 午後11:00~翌午前9:30(LIVE)
【解説】佐藤信人プロ、ツアープロコーチ内藤雄士
【現地ラウンド解説】プロキャディ杉澤伸章
※2日目~3日目は最大延長午前11:00まで、最終日は午前11:30まで