「USA！　USA！」のコールと、星条旗を振る人々の笑顔がバルハラGCに広がっていく。米国チームのポール・エイジンガー主将がカートの上で右手人差し指を突き上げ、飛び降りて走り回った。4大会ぶりに勝利をつかんだ瞬間だ。

　現地時間21日、ケンタッキー州ルイビルの同コースで行われた2年に1度の名誉をかけた欧米決戦、ライダーカップは最終日の競技を終了。2ポイントリードでこの日を迎えた米国チームは激戦のシングルス12試合を乗り切って、最後は圧勝で決着をつけた。

　実力者のセルヒオ・ガルシア（スペイン）を相手にした米国チームのトップバッター、アンソニー・キムは、前半の7ホールで3アップを奪う猛チャージを見せた。このまま一気に攻め続け、5アンド4で“神の子”に勝利。米国チームのムードを盛り上げた。

　ところが、続くハンター・マハンは、欧州チームのポール・ケイシー（英）と引き分けたものの、ジャスティン・レナードは、ロバート・カールソン（スウェーデン）に5アンド3で完敗。さらにエースのフィル・ミケルソンもジャスティン・ローズ（英）に3アンド2で敗れ、わずか1ポイント差に追い上げられると嫌なムードが漂った。

　これを吹き飛ばしたのが、地元ケンタッキー出身で今大会に出場するため、なりふり構わずシーズンを過ごしたベテラン、ケニー・ペリーだった。「ジャック・ニクラウスかタイガー・ウッズみたいなパッティングのタッチが出た」と興奮気味に振り返った猛攻を披露。ヘンリック・ステンソン（スウェーデン）を3アンド2で撃破した。ブー・ウィークリーもオリバー・ウィルソン（英）を4アンド2で倒して、米国チームは勝利まで残り2ポイントに迫った。

　そして、J.B.ホルムズがソレン・ハンセン（デンマーク）に2アンド1で勝って王手をかけると、安定した力を持つジム・フューリックがミゲール・A・ヒメネス（スペイン）に2アンド1で欧州チームに引導を渡し、米国の勝利が決まった。残る4試合は2勝2敗で、最終的なポイントは16.5対11.5。99年大会以来の勝ち星に、米国中に歓喜の雄叫びが響き渡った。

　エースのタイガーを欠き、ミケルソン以外にスターがいないといわれた今年の米国チームは、圧倒的不利の前評判を見事に払しょく。エイジンガー主将を称賛する声が渦巻く結果となった。