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世界中のゴルフファンの「勝って欲しい」という気持ちが伝わってきたフリートウッドのPGAツアー初優勝【金谷多一郎のPGAツアーアフタートーク】
2025年8月28日(木)午前11:20

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ジョージア州イーストレイクゴルフクラブで開催された今シーズンの最終戦「ツアーチャンピオンシップ」。
3日目が終わった時点で、パトリック・キャントレーとトミー・フリートウッドが16アンダーで並び、最終日はこの2人をラッセル・ヘンリー、キーガン・ブラッドリー、さらに世界最強のスコッティ・シェフラーらが追うという形になりましたが、終盤、フリートウッドが抜け出し、最終的には2位に3打差をつけて優勝。PGAツアー悲願の初優勝だけでなく、年間王者もゲットしました。
松山英樹選手は、初日から出遅れ、最終的には29位で大会を終えました。同大会の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めた金谷多一郎プロに振り返ってもらいました。
また、今回のフリートウッドに関しては、彼を応援する世界中のゴルフファンの「勝って欲しい」という気持ちも伝わってきて、私自身も解説者でありながら残り3、4ホールになってからはハラハラ、ドキドキ。こんな気持ちになったのは、初めての経験です。
勝負のカギとなったのは、アイランドグリーンの15番パー3。最終日は天候も穏やかで、風もそれほど強くなかったのですが、相当なプレッシャーを選手に与えていました。フリートウッドはこの15番をボギーで凌ぎ、トップをキープ。まさにここでの成否が勝負を分けたといえるでしょう。
それと18ホール全てが表裏一体というか、うまく攻めればイーグル、バーディーが手に入る一方、ちょっとしたミスがボギー、ダブルボギーにつながる怖さ、奥深さがイーストレイクにはあったような気がします。最終的に2位タイになったキャントレーも、申し分のないプレーをしていたと思います。3日目はボギーフリーの64。最終日はボギー、ダブルボギーという出だしになりましたが、フリートウッドが伸び悩んでいる中で最後まで食らいついていった辺りは立派でした。
ただ、少し気になったのは、ルーティンに少し時間がかかっていたこと。以前はリズムの良さが持ち味だったのですが、足踏みの時間が長くてなかなかスイングに入らなかったりするなど、少しスタイルが変わったような気がしました。ここ数年勝てていないということで、自分の中でいろいろな工夫をしたのかもしれませんが、今回2位タイになったことで、前に進めたはず。来シーズンは楽しみにしたいと思います。
一方、最も怖い存在だったシェフラーも、いつもとは少し違う感じがしました。前週の「BMWチャンピオンシップ」で勝利したものの、今週はプレーに集中するというよりもスイングが気になっていたようで、その分、彼にしてはミスショットが多かったと思います。とはいえそんな状態でも、きっちりベスト5に入ってくる辺りは、さすが世界ナンバー1プレーヤーだというべきでしょう。
日本人選手として唯一出場した松山英樹選手についても触れておきましょう。最初に言っておきたいのですが、世界のトップ30に入り、この最終戦に出ていること自体がスゴいこと。しかも松山選手は、これを毎年のように繰り返している。それだけでも尊敬に値するし、同じ日本人として誇りに思います。
今シーズンに関しては、試合後、「初戦に勝っただけで、こんなに悪いシーズンはなかった」とコメントしていましたが、裏を返せばそれだけ高みを目指しているということ。今は試行錯誤を繰り返しながら、少しずつ階段を上っている段階だと思います。
今週の試合も見ても、決して調子が悪いわけではなく、プレーの流れがうまくつめなかったり、イーストレイクとの相性が合わなかったりしたのが上位に食い込めなかった原因。特に、最終日は、高いフェアウェイキープ率(78.57%)からも分かるように、ストロークの内容はとても良かったと思います。
スコアが伸びなかったのも、よりアグレッシブに攻めた結果です。もし最終日に優勝争いに絡むような位置にいたら、緻密なマネジメントでスコアを落とさないゴルフをやっていたはず。スコアは伴わなかったものの、そのプレーは見応え十分でした。
さて、通常のシーズンはこの大会で終了しましたが、ここからはシード権を争うフォールシリーズが始まります。今季からフルシードが100位に縮小されたことで、125位までだった昨季よりは熾烈な戦いになるはず。1打、1打を大切にする選手たちのプレーは見応えがあると思うし、とても楽しみです。この戦いにかけている日本人選手の健闘にも期待しましょう。
(写真:Getty Images)
3日目が終わった時点で、パトリック・キャントレーとトミー・フリートウッドが16アンダーで並び、最終日はこの2人をラッセル・ヘンリー、キーガン・ブラッドリー、さらに世界最強のスコッティ・シェフラーらが追うという形になりましたが、終盤、フリートウッドが抜け出し、最終的には2位に3打差をつけて優勝。PGAツアー悲願の初優勝だけでなく、年間王者もゲットしました。
松山英樹選手は、初日から出遅れ、最終的には29位で大会を終えました。同大会の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めた金谷多一郎プロに振り返ってもらいました。
バーディもダブルボギーもある奥深きイーストレイクを凌ぎきったフリートウッド
PGAツアーでの初優勝を今季最終戦で掴んだトミー・フリートウッド。切れ味鋭いショットはもちろん、風貌や表情でもファンを魅了していますが、今大会は、ポーカーフェースを貫きながらも、ギャラリーやテレビ中継を見ている視聴者にもひしひしと伝わるほどの気迫を感じました。また、今回のフリートウッドに関しては、彼を応援する世界中のゴルフファンの「勝って欲しい」という気持ちも伝わってきて、私自身も解説者でありながら残り3、4ホールになってからはハラハラ、ドキドキ。こんな気持ちになったのは、初めての経験です。
勝負のカギとなったのは、アイランドグリーンの15番パー3。最終日は天候も穏やかで、風もそれほど強くなかったのですが、相当なプレッシャーを選手に与えていました。フリートウッドはこの15番をボギーで凌ぎ、トップをキープ。まさにここでの成否が勝負を分けたといえるでしょう。
それと18ホール全てが表裏一体というか、うまく攻めればイーグル、バーディーが手に入る一方、ちょっとしたミスがボギー、ダブルボギーにつながる怖さ、奥深さがイーストレイクにはあったような気がします。最終的に2位タイになったキャントレーも、申し分のないプレーをしていたと思います。3日目はボギーフリーの64。最終日はボギー、ダブルボギーという出だしになりましたが、フリートウッドが伸び悩んでいる中で最後まで食らいついていった辺りは立派でした。
ただ、少し気になったのは、ルーティンに少し時間がかかっていたこと。以前はリズムの良さが持ち味だったのですが、足踏みの時間が長くてなかなかスイングに入らなかったりするなど、少しスタイルが変わったような気がしました。ここ数年勝てていないということで、自分の中でいろいろな工夫をしたのかもしれませんが、今回2位タイになったことで、前に進めたはず。来シーズンは楽しみにしたいと思います。
一方、最も怖い存在だったシェフラーも、いつもとは少し違う感じがしました。前週の「BMWチャンピオンシップ」で勝利したものの、今週はプレーに集中するというよりもスイングが気になっていたようで、その分、彼にしてはミスショットが多かったと思います。とはいえそんな状態でも、きっちりベスト5に入ってくる辺りは、さすが世界ナンバー1プレーヤーだというべきでしょう。
日本人選手として唯一出場した松山英樹選手についても触れておきましょう。最初に言っておきたいのですが、世界のトップ30に入り、この最終戦に出ていること自体がスゴいこと。しかも松山選手は、これを毎年のように繰り返している。それだけでも尊敬に値するし、同じ日本人として誇りに思います。
今シーズンに関しては、試合後、「初戦に勝っただけで、こんなに悪いシーズンはなかった」とコメントしていましたが、裏を返せばそれだけ高みを目指しているということ。今は試行錯誤を繰り返しながら、少しずつ階段を上っている段階だと思います。
今週の試合も見ても、決して調子が悪いわけではなく、プレーの流れがうまくつめなかったり、イーストレイクとの相性が合わなかったりしたのが上位に食い込めなかった原因。特に、最終日は、高いフェアウェイキープ率(78.57%)からも分かるように、ストロークの内容はとても良かったと思います。
スコアが伸びなかったのも、よりアグレッシブに攻めた結果です。もし最終日に優勝争いに絡むような位置にいたら、緻密なマネジメントでスコアを落とさないゴルフをやっていたはず。スコアは伴わなかったものの、そのプレーは見応え十分でした。
さて、通常のシーズンはこの大会で終了しましたが、ここからはシード権を争うフォールシリーズが始まります。今季からフルシードが100位に縮小されたことで、125位までだった昨季よりは熾烈な戦いになるはず。1打、1打を大切にする選手たちのプレーは見応えがあると思うし、とても楽しみです。この戦いにかけている日本人選手の健闘にも期待しましょう。
(写真:Getty Images)
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