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アグレッシブな姿勢を貫くことで勝利を呼び込んだブライソン・デシャンボーとメジャーの現場でみた松山英樹の飽くなきゴルフへの情熱【佐藤信人・内藤雄士の全米オープンアフタートーク】

2024年6月20日(木)午前11:57

 ノースカロライナ州のパインハーストリゾート&カントリークラブ(No.2)で開催された第124回全米オープンゴルフ選手権。全米オープンならではの最後まで痺れる争いになった大会は、ブライソン・デシャンボー(米)が2位ローリー・マキロイ(北アイルランド)に1打差の6アンダーで頂点に立ちました。

 期待された日本の松山英樹選手も、2アンダー単独6位と大健闘。最後の最後まで、手に汗握る展開となった4日間を、ゴルフネットワークで解説を務めた佐藤信人プロと内藤雄士プロコーチに振り返ってもらいました。
 
憧れのペイン・スチュワートが制したパインハーストNo.2で勝ったデシャンボー
――お二人ともお疲れ様でした。内藤さんは、パインハーストから帰ってすぐに解説に加わっていただいたのですが、まずは現地の様子からお聞かせください。

内藤 今回は、清水大成選手のコーチとして帯同し、「どうやってこのコースを攻略しようか」ということを清水選手と考えながら練習日から3日間滞在したんですけど、全米オープンの雰囲気を堪能してきました。

佐藤 メジャーの空気を味わえたというのは、実に羨ましい(笑)。

――さて、改めてデシャンボーの優勝を振り返っていただきたいのですが。

佐藤 デシャンボーとマキロイが違う組でプレーしていたわけですが、できれば2人のプレーオフを見たかったというのが素直な感想です。デシャンボーを祝福する一方で、マキロイの気持ちも痛いほど分かるんで、複雑な気持ちです。

内藤 私も同じです。どちらが勝っても良かったんですが、佐藤プロが言うようにプレーオフが見たかったですね。あとは、コースの難易度が尋常じゃないくらい高くて、解説していても息が詰まるというか。あの難コースを攻略するトッププレイヤーの技の凄さというのを今回改めて感じましたね。それと、今回ドライビングディスタンス1位(デシャンボー)と2位(マキロイ)が、最後まで優勝争いをしたというのも、時代を象徴しているような気がしました。

――試合を振り返って、優勝を分けた1打というのは?

佐藤 あれだけ素晴らしいパットを決めてたマキロイが、上がり3ホールで2度、短いのを外しましたよね。それも60cmぐらいのパットを。一方、デシャンボーは常にアグレッシブに戦って、ショートパットのミスは1つありましたが、そのほかの取りこぼしがなかった。ミス1回と2回。その1回が2人の差になったのかなと。それと、最後のバンカーショットですね。55ヤードのバンカーショットは本当に凄かった。

――その前の、デシャンボーの18番のセカンドショットのマネジメントに付いてはどう思われました?

佐藤 結構ギャンブルショットだったと思うんですけど、その結果はともかく、デシャンボーがアグレッシブな姿勢を最後まで貫いたことが良かったですね。あれを横に出していたら、「あれ!? 最後だけ変わったな」ってことになりますからね。

内藤 私もそう思います。最終日、ドライバーショットがあれだけ悪かった中で、飛距離が出る分、セーフティーなマネジメントに切り替えることも考えられたわけですが、デシャンボーは攻め続けた。その気持ちの強さが、優勝につながったんじゃないかと思います。

――ペイン・スチュアートに憧れて、そのスチュアートが制したパインハーストで優勝しましたが、その部分も彼のモチベーションになっていたのんでしょうか。

佐藤 ペイン・スチュアートに憧れて同じ大学(サザン・メソジスト大学/SMU)に入学し、初優勝した大会も同じ。さらに、スチュアートが全米オープン2勝目を挙げたパインハーストで2勝目を挙げるという不思議な巡り合わせ。そういうストーリーが見ている側にも感動を与えるし、優勝した瞬間の喜び方、派手なガッツポーズもスチュアートと被ってくる。ああいうシーンを見ると、本当いい優勝だったなと思いますよね。

――お二人には、マキロイに優勝させてあげたいという気持ちもあったのではないでしょうか。

佐藤 個人的にはいろいろありますが、それよりもプレーオフですよね。マキロイは最後に短いパットを外し、デシャンボーの優勝が決まったあとは会見もキャンセルしてパインハーストをあとにしたそうですが、相当悔しかったと思いますよ。そのニュースを聞いて、2015年にジョーダン・スピースに敗れ、その翌年に優勝したダスティン・ジョンソンのことを思い出したんですが、マキロイも来年リベンジしてくれるといいですね。それがマスターズだったらなおいいんでしょうけど。

内藤 そうですね、マスターズで優勝すればキャリア・グランドスラム獲得になりますからね。その前にどの大会でもいいからメジャーを取らせてあげたいなっていうのはありますね。

佐藤 あの最後のツメの甘いところがね。あんなに強いのに、最後の最後に弱さを見せるじゃないですか。そこがマキロイの魅力でもあるのでしょうが、とにかく頑張って欲しいですね。
 
「もはや尊敬の気持ちしかない」松山英樹のゴルフへの情熱


――さて、松山英樹選手の話も聞かせてください。最終日はいい位置でスタートして、優勝もあるかもという期待がありましたが、最終日のプレーをご覧なられていかがでしたか。

佐藤 “凄い”のひと言につきますね。今回は日本人選手が松山選手を含めて6人も出場していて、いずれも力のある選手だったので、期待していたのですが、松山選手以外は予選落ち。その一方で、松山選手が優勝争に加わったということで、改めて彼の凄さを思い知らされましたね。にもかかわらず、インタビューでは悔しそうな表情を浮かべている。「ああ、これが本当の世界のトップ選手なんだろうな」と感じましたね。

内藤 私は火曜日に、清水選手が松山選手、石川遼選手と練習ラウンドを行ったので、松山選手とは会話を交わしたのですが、そのときから前向きにこの試合に向けて取り組んでいるということが伝わってきましたね。コーチとずっとスイングの話をしていて、ゴルフの調子も良さそうでした。練習日は体感温度が高くて、日差しも強く、それでいてコースが難しいから考えることも多く、ハーフが終わった時点でヘトヘトになったんですけど、そんな中でも松山選手は黙々と練習に励んでいる。しかもそういうことを十数年続けているわけですからね。

佐藤 普通20代がピークで、だんだん落ちていきますけどね。

内藤 練習量なんか、年々、増えているんじゃないかと思うくらい。さらに類い希な集中力も持っている。それに付け加え、ゴルフへの情熱も人並み以上のものを持っていて、自分が絶対に上に行くんだっていう強い気持ちも感じられる。もはや尊敬の気持ちしかないですね。

佐藤 それを生で見ることができたというのは大きいですよね。内藤さんは、そんな松山選手の凄さを日本の選手に伝える立場の人だから。

内藤 そばで見ていた清水選手は、体力もあり、練習量も多い選手なんですけど、松山選手の練習に対する取り組み方とか向き合い方みたいなのはすごく勉強になったと思うし、刺激にもなったと思いますね。強いだけでなく、本当にいい影響をいろんな選手に与えてくれる気がします。

――全米オープンロスがしばらく続くかもしれませんが、7月には全英オープンが行われます。全米オープンに劣らぬ激戦を期待するとともに、日本人選手の活躍にも期待しましょう。

佐藤 全英オープンに向けて、我々もテンションを上げていきましょう(笑)。

内藤 もう1ヶ月後ですね、そうですね!

(写真:Getty Images)
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