59歳10か月で全英オープンタイトルにあと一歩まで迫ったトム・ワトソン（米）に、闘病中のセベ・バレステロス（スペイン）が強烈な刺激を受けている。08年脳腫瘍で倒れ、4回の手術を受けて放射線治療を続けている中、全英オープン期間中に地元紙の取材に答えた。口をついたのは「来年のセントアンドリュースではプレーしたい」と前向きな言葉だった。

　ワトソンはメジャー8勝の内で全英5勝と相性の良い大会だが、バレステロスも負けてはいない。メジャー5勝の中で全英で3勝。そのアグレッシブなプレースタイルで、ワトソンと同じくらい地元ファンに愛されている。そんな事情もあって、テレビでワトソンの勇姿を見たバレステロスの闘病モチベーションは一気にアップ。来年の大会を目指し、病気との闘いを続けることになった。

　一方、ワトソンの方もセベの闘病を心から応援している。大会2日目には、一緒にプレーしたスペインの若武者、セルヒオ・ガルシアにバレステロスの病状を質問。「直接会ってはいませんが、テレビで見た限りではだいぶよくなったようです」という答えを聞いて笑顔を見せ「よろしく伝えて欲しい」と言ったほどだ。メジャーの舞台で激闘を演じた男同士だけに分かる友情が、バレステロスの病魔を吹き飛ばしてくれることを祈りたい。