グリーンを横切る約15メートルのパットが、鮮やかにラインに乗ってカップに向かう。アダム・スコット（豪）がバーディを奪ってガッツポーズを見せ、ギャラリーはスタンディングオベーションでこれを讃えた。

　米ツアー、EDSバイロン・ネルソン選手権最終ラウンド（現地時間27日、テキサス州アービング、TPCフォーシーズンズ・リゾート）は、通算8アンダー3打差単独首位でスタートしたスコットが強い風に苦しみ、混戦模様となった。

　1番ボギーの後、5番でダブルボギー。一気に通算5アンダーにスコアを落とすと、後半の15番でもボギーを叩く。他の選手も風には苦しんだが、それでも3打差2位タイでスタートしたツアー未勝利のライアン・ムーア（米）が頭角を現した。16、17番の連続バーディで通算7アンダーと抜け出し、スコットの1組前で先にホールアウトし最終組を待つ。対するスコットも16番パー5でイーグル逃しのイージーバーディ。最終18番でも3メートルのパットを沈めてムーアをつかまえた。

　プレーオフ1ホール目は同じ18番パー4。先に打ったムーアがティーショットを右のギャラリーの中に打ち込んだが、4メートルに2オン。飛距離で優るスコットは、残り95ヤードからの第2打を2.5メートルに乗せたが、どちらも決められない。2ホール目の17番パー3でも共にパー。そして18番に戻った3ホール目。フェアウェイをきっちりキープしたムーアは、ピンをデッドに狙ってグリーン左のカラー。4メートルのチャンスにつける。一方のスコットは、右バンカー。爪先下がりの難しいライからでは、グリーン右に乗せるのがやっとで、長いバーディパットを残してしまった。だが、このパットを真ん中から沈めてバーディ奪取。初優勝がかかっていたムーアは、これに動じたのかバーディが獲れず、スコットの勝利を見守るしかなかった。

　スコットは昨年のシェル・ヒューストン・オープン以来のツアー6勝目。6月の全米オープンに向けて、大きな自信を手にした。

　通算3アンダー3位にバート・ブライアント（米）。4打差6位タイから逆転優勝を狙ったセルヒオ・ガルシア（スペイン）は、この日5オーバー75と崩れ、通算1オーバー19位タイ。丸山茂樹も77の大叩きで通算13オーバー。前日の65位タイから72位に順位を落として大会を終えている。