番組制作スタッフがフロリダから発信するユニークなゴルフ最新情報!
2016年6月16日(木)午後7:15
米フロリダ州オーランドより番組制作スタッフが、独自視点でお届けするユニークなゴルフ最新情報!
第78回マスターズは、2012年プレーオフで信じがたいショットを放ちマスターズでメジャー初制覇を果たした“泣き虫”ババ・ワトソンの2勝目で幕を閉じました。
オーガスタ・ナショナルは圧倒的な飛距離を誇るワトソンの庭とでも言えそうなほどワトソンにぴったりのコースと認めざるを得ません。 オーガスタで最も短いパーファイブとは言え、トップを行くワトソンに13番で目の前でセカンドをウエッジで打たれたら、ジョーダン・スピースも早くもとどめをさされたような気になったとは言わないまでも、プレッシャーは大きくなったことでしょう。
スピースがマスターズ最年少優勝を果たすかと思わせた戦いから、ファーストナインを終わった時には立ち場が逆転。そしてセカンドナインは2年前に勝ったワトソンが貫禄のプレーでコースを攻めきり逃げ切りました。 今年は先にスタートした選手達の猛チャージが見られず、マスターズ特有のコースに響きわたる大歓声があまり聞こえなかったのが残念でした。
それでも去年、おととしとプレーオフにもつれ込んだマスターズに比べればドラマチックなフィニッシュにはならなかったものの20歳のスピースが最終日最終組、一組前で回る過去2年連続トップテンのマット・クーチャー、そしてチャンピオンズ・ツアーデビュー直前のミゲル・アンヘル・ヒメネスが上位スタートなど、メジャーならではのお膳立てが整い、タイガー欠場、松山英樹選手、ミケルソンやガルシア、エルスは予選落ちと寂しさが漂った今年のマスターズを盛り上げてくれました。
“泣き虫”ババ・ワトソンがいつ泣き出すか、18番ではワトソンの顔が何度もアップで映されました。 そして最後の短いパットを決めたあと、キャディのテッド・スコットのつなぎの背中の部分をしっかりとつかみながら再び男泣きしたワトソン。
キャディのスコットとは、2006年ベン・クレーンを介してコンビを組み、以来9年、ワトソンがPGAツアーに参戦してからほとんどの時間を一緒に過ごしています。 ワトソンは涙もろいことからもわかるように感情的になりやすい部分もあり、優勝争いしていたラウンドでキャディのスコットが正しいヤーデージを伝えなかったと腹を立てるシーンが中継で流れたこともありました。スコットはインタビューを見ていても穏やかな性格に見受けられ、まさに内助の功という言葉がぴったり。ワトソンに怒鳴られても “I KNOW HE LOVES ME”と固い絆を確信、そして怒鳴った方も “I KNOW HE LOVES ME”と 相思相愛であることを強調しています。 しかしさすがのスコットも何年か前、ワトソンにはついていけないと思い、『態度を改めてくれないとあなたのバッグを担げない』と伝えたことがあったそうです。ワトソンはその言葉で反省し、以来二人は5勝をあげ、そのうち2勝がマスターズです。ワトソンは表彰式で理事長、オーガスタ・ナショナルのメンバー、スタッフ、関連団体などをたたえ、すばらしい大会だったと感謝しました。私はできたら長年苦楽をともにしてきたテッド・スコットにもスピーチで触れてほしかったなと思いましたが、スコットは家族同然、あえて言わなくても感謝の気持ちは伝わっていると思ったのかもしれません。ワトソンがスコットのつなぎをしっかりと握っていたように、ケイレブ君も小さな手でパパのシャツをしっかり握っていたのが印象的でした。
表彰式といえば、私にとってのマスターズ初体験、1996年を思い出します。
グレッグ・ノーマンが最終日を6打リードでスタートし、終わってみれば、ニック・ファルドのマスターズ3勝目となった年です。オーガスタのパトロンは優しい人達ばかりで、背伸びをしながら優勝スピーチを聞こうとした私に前にいらっしゃいと最前列の人がその場を譲ってくれたことは、今でも忘れられません。
そして強く記憶に残っているのが グリーンジャケットを羽織ったファルドに、『Make sure you’ve got the right jacket』 (ノーマンのために用意したものじゃないことを確認しなさい)と理事長が言い、笑いが起きたことです。ユーモアのセンスが高く評価されるアメリカを実感した瞬間でした。
さて今週は、久々に石川遼選手と松山選手が揃って出場となるRBCヘリテージです。
サウスカロライナ州のハーバータウン・ゴルフリンクスが舞台となるこの大会、雄大な景色でも有名ですが、なんといっても楽しみなのは両選手の活躍です。マスターズには出場できなかったものの成長著しい石川選手、故障を言い訳にせず2日目初日よりも9打低いスコアで回った松山選手。
二人の悔しさが爆発する大会であることを期待しています。
石川遼・松山英樹 参戦!「RBCヘリテイジ」放送日時
1日目:4月18日(金) 午前4:00?7:00
2日目:4月19日(土)午前4:00?7:00
3日目:4月19日(土)深夜2:00?7:00
最終日:4月20日(日)深夜2:00?7:00
筆者:Makiko Minoya
1995年 州立セントラルフロリダ大学 ジャーナリズム科卒業
1996年 ゴルフチャンネル入社(米フロリダ州オーランド)
好きなゴルファー:タケ小山プロ
[画像は全て©Getty Images]