アジア、南ア、豪州各ツアーとの共催で、年々試合数、賞金総額ともに増加傾向にある欧州ツアー。すでに08年シーズンがスタートしているが、07年の賞金王争いは2シーズン連続で最終戦にもつれ込むドラマチックな展開となった。

　最終戦ボルボ・マスターズの直前まで賞金レースのトップに立っていたのはアーニー・エルス（南ア）だった。しかし主役のエルスはアジアンツアー参戦のため同大会を欠場。そのため同ランク2位のパドレイ・ハリントン（アイルランド）、3位のジャスティン・ローズ（英）、4位のヘンリック・ステンソン（スウェーデン）、5位のニコラス・ファース（スウェーデン）まで逆転のチャンスが巡ってきた。

　周囲の期待に応え大会初日はローズが3位タイ、ハリントンも5位タイの好位置を確保。第2ラウンド、ローズが後続に4ストロークの大差をつけトーナメントをリードすると、そのまますんなり先頭でゴールを駆け抜けるかに思われた。ところが最終ラウンドは賞金王の重圧からかスコアを落とすローズに、サイモン・ダイソン（英）らが並びかけ試合はプレーオフにもつれ込む。しかし最後は米ツアーでも活躍するローズがバーディを沈め優勝。そして逆転賞金王のダブルクラウンをゲットした。

「限られた試合数の中でコンスタントにトップ10に入れて良かった。それだけ安定していたという証拠だと思う。優勝という最高の形で、ずっと夢見てきた賞金王のタイトルを獲得できて最高にうれしい」と27歳になったローズ。17歳で全英オープン4位に食い込み、若くしてプロの世界に飛び込んだ当初は21試合連続予選落ちという不名誉な記録を作り、「プロ転向は失敗だったのでは？」と批判されたもの。しかし10年の歳月と貴重な経験の数々が、ローズを強く逞しいトッププレーヤーへと成長させた。

　それにしても06年同ツアーの賞金レースは最終戦の最終ホールでハリントンがポール・ケイシー（英）に競り勝ち栄冠に輝く僅差の戦いだったが、07年も負けず劣らずドラマチックな賞金王争いだった。若手、ベテランともに実力者が目白押しなだけに、来年はヨーロッパの選手たちが世界で大暴れする1年になるかもしれない。