アメリカに主戦場を移して丸8年。PGAツアー188戦目にしてフレデリック・ヤコブソン（スウェーデン）が遂に念願の初優勝を達成した。

　現地時間26日に行われた米男子ツアーのトラベラーズ選手権（コネチカット州、TPCリバー・ハイランズ）最終ラウンド。最終組の1組前で回ったライアン・ムーア（米）が最終18番でバンカーからバンカーを渡り歩きパーセーブに失敗し、ジョン・ロリンズ（米）と並んで通算19アンダーでホールアウト。ヤコブソンは1打リードで18番の第2打を迎えることに。欧州ツアー3勝の実績をかなぐり捨て、アメリカを主戦場に選んだ彼が8年目にしてようやく訪れた初Vの瞬間。フェアウェイからの気合いがこもったセカンドショットがグリーンをとらえ、ファーストパットをピンに寄せると、これをしっかり沈めて通算20アンダーで優勝を手にした。逃げ切っての勝利をつかんだ瞬間、ヤコブソンは両手を何度も力強く天に向かって突き上げた。

「信じられない気持ちです。長くかかってしまったけれど、遂にやりました。支えてくれた人々のお蔭です」と妻や両親、キャディ、クラブメーカー、大会関係者などすべてに感謝の言葉を口にしたヤコブソン。アメリカで戦い始めた当初は、細めのリンドバーグのウェアを華麗に着こなし、ワイルドなヘアスタイルのスタイリッシュなゴルファーとしてもてはやされて話題になった。すぐにでも勝つのではないかと思われたが、5年前に手首を故障するなど苦労し初優勝は思いのほか遠かった。

　だた今週は3日目までノーボギーの完璧な内容。最終日こそ10番で唯一のボギーを叩いたが、フェアウェイキープ率は100％、パーオン率も83％と冴えるショットにパットが噛み合い待ちに待った瞬間が訪れた。「優勝するという子供との約束をなかなか果たせなかったけれど、やっと果たせてホッとしている」36歳になったヤコブソンは清々しい表情で喜びを噛みしめた。

　その他、1打差の2位タイにムーアとロリンズ、2打差の単独4位にマイケル・トンプソン（米）が入ったが、2日目に『60』のコースレコードをマークした19歳のアマチュア、パトリック・キャントレー（米）はスコアを伸ばせず、通算11アンダー24位タイに終わった。しかし今週の活躍が認められ来週のトーナメントへの主催者推薦が決まっている。