メジャー通算8勝を誇る“新帝王”トム・ワトソン（米）が、レッスンDVDをリリースした。タイトルは“トム・ワトソン ? レッスン・オブ・ア・ライフタイム”。ゴルフの基本がぎっしりとつまった内容だ。

「ベン・ホーガンが彼の本を書いた時、それはすごく小さな本で『これはあなたがどうすべきかというもの。基本から始めなくてはならない』と、言っていた」と、1940?50年代にメジャー通算9勝を挙げた偉大なる球聖を例えに持ち出して笑顔を見せたワトソン。53年前に書かれたホーガンの“Five Lessons”（邦題『モダン・ゴルフ』）は、ゴルフレッスン書として多くのゴルファーに読まれてきた名著。ワトソンにとっても、これは大切なバイブルだったのは間違いない。

　ワトソンは1年前、4大ネットワークのひとつ『ABC』のゴルフ中継に長年携わり、エミー賞7回受賞を誇る名プロデューサー、テリー・ジャストロー氏と出会った。すでに、ジャック・ニクラウス（米）、フィル・ミケルソン（米）らのレッスンビデオ、DVDの制作に関わった実績を持つジャストロー氏。同氏はワトソンの地元カンザスシティで3日間にわたって、そのスイング理論を徹底的に取材し、DVDの構想を練り上げた。

　2枚組DVDのオープニングは、ニクラウスとの死闘の末に優勝した1982年、ペブルビーチGL（カリフォルニア州）で開催された全米オープン。伝説となった17番のチップインで始まる、ファンにはたまらない作りとなっている。奇しくも今年の全米オープンの舞台は同じペブルビーチ。ワトソンも特別招待で出場が決定しているだけに、そのエキスの詰まったDVDは、ワトソンにとっても関係者にとっても感慨深いものになりそうだ。

　昨年の全英オープンでは、結果的には敗れたものの、プレーオフにまでもつれる優勝争いを演じ、今年は60歳にしてマスターズのリーダーボードをにぎわせたワトソン。思い出のペブルビーチでどんなプレーを見せてくれるのか。DVDと併せて楽しみたいところだ。