23歳の若者が感慨深げにガッツポーズ。勝利を噛み締めた。マーティン・カイマー（独）が、貯金を吐き出した挙句、プレーオフを戦い抜いて、病床の母に捧げる地元優勝を飾った。

　欧州ツアー、BMWインターナショナル・オープン最終ラウンド（現地時間22日、ドイツ、ミュンヘン・アイケンリードGC）は、6打差の通算18アンダー単独首位でスタートしたカイマーが、11番で池ポチャ2発のトリプルボギーを叩くなどで急降下。8番からの11ホールで5バーディの猛攻を見せ、通算15アンダーで先にホールアウトしたアンダース・ハンセン（デンマーク）に1打ビハインドで最終18番を迎えた。

　カイマーは、何とかここでバーディを奪ってハンセンに追いつき、プレーオフに突入。同じ18番パー5で行われたプレーオフ1ホール目、残り212ヤードの第2打を2オンさせバーディ。対するハンセンは、第1打、2打共にバンカーに捕まり、3オン3パットのボギー。大ギャラリーを味方につけた勢いのある若者に、文字通り脱帽した。

　勝利の美酒に酔うカイマーの心には、常に病と闘う母の姿があった。「ここで負けたくなかった。この優勝は母に捧げます」と感極まるほど、母の病気は深刻だ。それでも息子の優勝は、母に大きな勇気を与えてくれたに違いない。

　2打差3位タイにポール・ケイシー、ジョン・ビッカートン、マーク・フォスターの英国勢3人。2位でスタートしたシャール・シュワーツェル（南ア）は、トーマス・レベ（仏）らと並ぶ通算11アンダー6位タイに終わっている。