スコッティ・シェフラー（米）が、2025年シーズンにおいてプロゴルフ界の「象徴的存在」としての地位を決定づけた。

　シェフラーはPGAツアー年間最優秀選手に贈られるジャック・ニクラス賞を4年連続で受賞。これはタイガー・ウッズ（米）に次ぐ歴代2位の記録で、メジャー2勝を含む圧倒的な成績を残した。トップ10圏外でのフィニッシュはほぼなく、ボールストライキングでは他を大きく引き離した。

　しかし、2025年のシェフラーを特別な存在にしたのは「勝利数」だけではない。彼の考え方や生き方が、他の選手たちに影響を与え始めたことが最大の特徴だ。

　ローリー・マキロイ（北アイルランド）は「シェフラーのような賢いゴルフを意識した」と語り、若手のアクシャイ・バティア（米）らも「ゴルフが人生のすべてではない」という価値観をシェフラーから学んだと明かしている。

　シェフラー自身は以前から「自分のアイデンティティはゴルフのスコアではない」と語っており、今年の全英オープンでも、成功と人生の充実は別物だと率直に発言。その姿勢は、多くの選手に共感と影響を与えた。

　ウッズ以来、明確な「時代の指針」が不在だった男子ゴルフ界。2025年、シェフラーはその役割を担う存在となり、競技だけでなくプロゴルファーの在り方そのものを形づくり始めている。

（写真：Getty Images）