アマチュアゴルファー日本一を決する「日本アマチュアゴルフ選手権競技（以下「日本アマ」）。今年は、7月1日～4日、神奈川県の横浜カントリークラブ・西コースで開催されます。

　「日本アマ」が、兵庫県神戸市六甲にある神戸ゴルフ倶楽部で第1回が行われたのは1907年。以後、神戸ゴルフ倶楽部とニッポン・レース・クラブ・ゴルフィング・アソシエーション（当時存在した横浜競馬場内に整備されたゴルフ場）のメンバーが1年に一度、交互に相手のコースを訪れるという形で行われてきました。その後、震災や戦争などで中止になったこともありましたが、大会は継続し、今年で109回目を迎えます。

　過去の優勝者には、6回の優勝を誇り、“プロより強いアマチュア”と称された中部銀次郎をはじめ、プロの世界で活躍した中嶋常幸、倉本昌弘、宮本勝昌、星野英正、最近では金谷拓実、中島啓太らの名前も見られます。

　参加資格が与えられるのは、前年度の上位選手や、各地区連盟が主催する「アマチュア選手権」の上位選手、また、「日本ミッドアマチュア」上位5位の選手や、「日本ジュニア・15～17歳の部／12～14歳の部」、「日本学生」の優勝者など約150人。競技は、以前はマッチプレーで行われていたこともありましたが、現在は、4日間72ホールストロークプレーで優勝が争われます。

　廣野ゴルフ倶楽部で開催された昨年大会（第108回）は、最終日が悪天候で中止になったため、第3ラウンドを終えて通算7アンダーで並んでいた松山茉生（福井工業大福井1年／当時）と山下勝将（近畿大4年／同）によるプレーオフが行われ、2ホール目でパーをセーブした松山がボギーの山下を下し史上最年少記録（それまでの記録は金谷拓実の17歳51日）を大幅に更新する15歳344日で初優勝を飾りました。

　今年の注目度ナンバー1は高2になった松山。ナショナルチームのメンバーに選ばれたことでさらに成長していることもあって、連覇に期待がかかります。また、同じ高校生で、6月に行われた「トヨタジュニアゴルフワールドカップ Supported by JAPAN AIRLINES」で個人・団体のW優勝を飾った長﨑大星（勇志国際1年）、昨年の「日本アマ」3位の外岩戸晟士（代々木3年）らも虎視眈々と優勝を狙っています。



　一方、大学生では、一昨年の「日本アマ」チャンピオン、中野麟太朗（早稲田大4年）、中野とともに早稲田大を「全国大学対抗戦」初優勝に導いた竹原桂吾（早稲田大4年）が有力。また、24年「日本学生」優勝の田村軍馬（東北福祉大3年）も初優勝を目指します。

　そのほか、大阪学院大1年だった23年に「日本学生」を制した小林匠（大阪学院大3年）も注目選手の一人です。昨年10月に行われた「2024 ノムラカップアジア太平洋アマチュアゴルフチーム選手権」ではアジアの強豪相手に健闘。今年の大会には、関西アマチャンピオンとして乗り込んでくるだけに、面白い存在になりそうです。



　また今年は、特別承認でインドと韓国の選手が2人ずつ参加。いずれもアマチュアランキング上位にいる実力者で、優勝トロフィーが海を渡る可能性も十分あります。さらに、社会人ゴルファーにも力のある選手が多いのも見どころの一つ。中でも、「日本ミッドアマ」上位5位枠で出場する稲葉一馬、上條五大、塩月純生、儀保和、中村尊史らがどのようなプレーを披露してくれるか楽しみです。

　しかも今年、横浜カントリークラブ・西コース（6,824ヤード、パー70）で行われるという点も、社会人ゴルファーに注目が集まる要因になっています。2014～16年に改修され、より戦略的なコースに生まれ変わった同コース。2018年に開催された「日本オープン」ではショットメーカーの稲森佑貴プロが頂点に立っているだけに、正確なショットと的確なコースマネジメントを身上とする選手たちにも十分チャンスがありそうです。

　古き良き時代の面影を残しつつ、“自然回帰”をコンセプトに整備された横浜カントリークラブでどのような戦いが繰り広げられるのか。勝負の行方もさることながら、そのクラシカルな佇まいも存分に楽しんでください。

◆放送予定
「2025年度 第109回 日本アマチュアゴルフ選手権競技　最終日」
CSゴルフネットワークで生放送／動画配信サービス「ゴルフネットワークプラスTV」で生配信
第1部　7月4日（金）午前7:00～午前9:30
第2部　7月4日（金）午後0:00～午後2:00（延長あり）

（写真：JGA）