楽勝ムードが一転、ハラハラドキドキの展開の中、タイガー・ウッズ（米）が今季メジャー初勝利をもぎ取った。

　米男子ツアーの今季メジャー最終戦、第89回 全米プロゴルフ選手権はオクラホマ州タルサのサザンヒルズCCを舞台に現地時間12日、酷暑の中最終ラウンドを行った。通算8アンダーで4日間を終えたタイガーが、2位のウッディ・オースティン（米）に2打差をつけ大会連覇。メジャー通算13勝目を飾った。と、タイガーには思わぬ訪問者が。フロリダに居るはずのエリン夫人に抱かれた生後2か月の長女、サム・アレクシスちゃんだ。

「2人が来ているなんて、知らなかったからすごく驚いた。今回は本当に、今まで味わったことがないような感動を味わった。彼女（娘）を見て、この娘のために優勝したんだ、と思ったらゾクゾクした」と父親になって初めてのメジャー勝利を喜んだタイガー。しかしその道のりは思ったよりも厳しいものだった。

　3日目を終えて首位に立ったときのメジャーでの勝率は100パーセント。誰もがタイガーの勝利を微塵も疑わず、実際8番を終えて通算9アンダーまでスコアを伸ばしたときには楽勝ムードが漂った。しかし9番でボギー、14番も3パットのボギーとすると、11番から3連続バーディで通算6アンダーまで伸ばしたオースティンに1打差に迫られる。同じく通算6アンダーで追いすがるアーニー・エルス（南ア）は16番のボギーで後退したが、「まだ勝負は終わっていない！」とばかりに、オースティンは15番でもバーディチャンスにピタリ。しかし追撃もそこまで。約3.5メートルを外してバーディを逃したオースティンに対し、同じホールでバーディを奪ったタイガーが王者の貫禄を見せつけ、今季5勝目をものにした。

　これで尊敬するジャック・ニクラウス（米）のメジャー通算18勝にあと『5』と迫る13勝目。ニクラウスが13勝を挙げたのは35歳のときだから、タイガー（31歳）は4年も早くその数字にたどり着いたことになる。追撃も空しく通算5アンダー単独3位で戦いを終えたエルスは「タイガーに勝ち癖をつけてしまった」と悔しそうに呟いた。

　その他この日6アンダー64のベストスコアをマークしたサイモン・ダイソン（英）が通算イーブンパーでトレバー・イメルマン（南ア）、ジェフ・オギルビー（豪）らと並び6位タイに入ったが、前日2位のスティーブン・エイメス（カナダ）は出だしの2連続ボギーでつまずき通算2オーバー12位タイに甘んじた。

　日本勢で唯一決勝ラウンドに進出した片山晋呉は、1バーディ、5ボギーの4オーバー74とふるわず、通算9オーバー50位タイで4日間の競技を終えている。