丸山茂樹さんが語るプレジデンツカップ「アメリカは松山英樹を潰しに来ている」
2017年9月28日(木)午後7:45
- この記事のキーワード
初日のペアリングについて
―初日のペアリングが松山英樹&チャール・シュワーツェル対ジャスティン・トーマス&リッキー・ファウラーとなりましたが。
やりづらいね~。これはわざと松山英樹攻撃をして来ている気がするね。ジャスティン・トーマスを当ててきているのは、相性の問題ですよ。ゴルフの相性の問題を見てきていると思うんですよね。
リッキー・ファウラーは英樹にとって(相性が)いい存在だと思うんですけれども。誰がこういう風にぶつけてきたか分からないですけど。
―逆に言えばアメリカチームや松山選手は抑えておきたい、だから最強メンバーをぶつけてくると。
絶対にあると思います。どちらが先に(メンバーを)出したかによりますが、もし世界選抜が先ならぶつけてきてますよ。最初の一発目潰しておけと。
―どちらにしても、今後松山選手はこういう戦いにおいて、強い相手しかないと。
もう一番注目されている選手だと思うので、そこは先に噛みついておけというのがアメリカチームの考えだと思うんですよね。
―ファウラーとトーマスの「USAコール」がすごそうですね。
面倒くさいですよ(笑)。でも相手にとっても何もないじゃないですか。そういう相手だと松山英樹は燃えますから。
ただ、一つ不安があります。シュワーツェルがドライバーがまっすぐ行きません。練習ラウンドを見たんですけれど、2回しかまっすぐ行きませんでした。ちょっと不安材料ですね。口数少ない松山英樹がこぼしていました。「たまにはフェアウェイに打ってくれよ」と言ってました(笑)。
―初日はそこにも注目ですね。
そうですね。そのくらいまだ気持ちに余裕があるので、そこを楽しみながらうまくやっていってもらいたいなと。勝てない相手じゃないですよ。
―第1カードから面白い戦いになりそうですね。
楽しみですよ。
コースの印象
―コースの印象はいかがですか?
いやぁ~、今の選手にとってこの距離は全然問題ないと思うんですけど、フェアウェイがタイトですね。幅がちょっと日本っぽい感じで、全体的に林から林の間に色々なことが起こってて、米ツアーの中でも屈指のタイトコースですよ。
―今日は風がなかったですけど、もし風が吹いたら結構嫌らしいかなと。
海が近いですし、風が吹く可能性は十分ありますよ。風が吹いた方が、ドラマが生まれると思いますよ。見ている人たちは(その方が)楽しいでしょうね。
―ドラマっておっしゃいましたが、今はアメリカがどう見ても強いじゃないですか。それについて松山選手に聞いたら「いや、そんなことはない。自分たちがしっかりやれば、結果は分からない」という話をしていました。
今はネームバリューで言ったら圧倒的にアメリカの方がオッズが高いと思うんですよね。でも意外とそういう時に限って油断するときもあるし、自分たちがいい時に限って見えない仲違いがあったりするんですよ。
だからアメリカチームが意外とライダーカップで勝てないのはそういうところにあって、自分の持ち味が出せないまま、ヨーロッパチームのフレンドリーさに圧倒されるというのがありますからね。
―じゃあ、チーム一丸となっていけばチャンスはあると。
そうそうそう。ニック(・プライス)が3大会連続でキャプテンを任されていて、彼の信頼度というのはどんどん増していると思うし、チームワークというのはアメリカに勝るものがあると思うんですよ。
―逆にアメリカは(スティーブ・)ストリッカーのチームの合わせ方が重要になりますか?
重要だし、ホームだから勝たなきゃいけないという重圧も出てくる、と思います。
ただやっぱり世界選抜チームとしては、ニューヨーカーの声援というのが、僕も全米オープンで経験していますが、ちょっと他の場所と違う。(メジャーリーグの)ヤンキースやメッツがあるし、応援の圧力が高く、応援のプロがいっぱいいるんですよ。そういうことを考えると、このニューヨークで戦うというのは非常に厳しいかなと。
―ある意味アウェイを感じていると。
相当アウェイだと思いますよ。
―そういう時はどうすればいいですか?
いやいや、無視ですよ。無視で、自分たちのゴルフにまい進して、自分たちはできるんだという気持ちを高める。
今年はアーニー・エルスを筆頭に副キャプテンチームもいいですし。自分と同年代で仲間達みたいなものですから、その人たちが副キャプテンとしてニックを盛り上げますから、選手もそれに一丸となって頑張るんじゃないかと思いますよ。
松山英樹の調子について
―今日は松山選手を見て回ったんですが、印象はいかがですか?
ちょっと前のシカゴのBMWチャンピオンシップでも見させてもらったんですけど、その時と違ってもう復調しているのではないかと。僕が気になっていたダウンスイングの動きも凄く良くなってたし、手が1個分前に出てくるという珍しい動きをしていたんですけど、それがほぼ消えてきているし、本人が言うにはアイアンのシャフトの入れ方を変えて、重量感とかシャフトのしなりが良くなったと。だから自然と手がきれいに動いたりしているし、グリップをちょっと変えたのが良かったと。
―細かいマイナーチェンジをしているんですね。
そうなんですよ。一つ壁にぶつかって、今回ちょっと長かったですけど、これを一皮むけたら、さらに大きな松山英樹が表れるんじゃないかと。
―そんな中、今日はショートゲームの話もされていましたけど?
今日は珍しく、バンカーショットの質問をされたんですよ。しばらくバンカーで思うように上手く弾まない、ボールが柔らかく出ない、スピンが上手く入らないということで、何点かアドバイスさせてもらったんですけど、それが本人の中で、必ずああいう選手というのは、1回ミキサーに入れていいところだけ絞り出すように、(情報の)ろ過作業が上手。
だから、今日はすごくいい話ができたんじゃないかと。僕は自分のアドバイスが100点とは絶対思わないんですよ。質問してきてくれるわけだから、聞き入れ態勢がある。そこで色んなことを言ってあげることで、彼の中で(必要な)要素だけしっかり取れればいいんじゃいないかなと。
―彼の中でエネルギーになっていくものがある。
絶対あると思います。何ホールかバンカーショットをやりましたけど、非常に柔らかい球が出るようになってきて、キャディの進藤大典も「なんかちょっといい球が出ている気がします」と言ってくれたんで。
あ、もう吸収が早いなと。最速のミキサーで栄養だけを吸収していると。それがやっぱりトッププレイヤーですよ。あのところに行っている選手は、僕らから見たら宇宙人ですよ(笑)。それくらいすごいんです。
―そんな丸山さんには最終日に解説をお願いしているんですが、解説の意気込みや「こういうところを見てほしい」というのを。
シングルスなんで、最後どういう戦いをするか、選手同士の駆け引きだとか、イケイケ度だとか、圧力だとか、そういうことが一番出てくるところだと思いますので、熱さだったりとか、コースに対する戦略だったりだとか、全てにおいてゴルフのいい話をさせていただけたらなと思います。