4.5メートルのイーグルパットがカップに向かって転がっていく。スーザン・ピーターセン（ノルウェー）の「入って！　入って！　お願い！」という叫びに応じるかのように、ボールはカップへと吸い込まれた。

　米女子ツアー、ホンダLPGAタイランドの最終ラウンド（現地時間28日、タイ、パタヤのシャムCC・パタヤ・オールドコース）はドラマチックな幕切れだった。

　2位に7打差の通算20アンダー単独首位でこの日を迎え、2週連続優勝へ楽勝ムードが漂っていたピーターセン。しかし出入りの激しいゴルフでスコアを伸ばせず、17番までで通算19アンダー。通算13アンダー2位でスタートしながら1番のイーグルで波に乗り、バーディを重ねたメジャー4勝のベテラン、ローラ・デービーズ（英）に17番終了時で並ばれる。

　飛ばし屋同士、どちらも譲れない18番パー5。16番から2ホール連続ボギーのピーターセンは、残り225ヤードの第2打で3Wを手にした。見事4.5メートルに乗せたが、デービーズも6Iで7.5メートルに2オン。勝負はグリーン上へと持ち越された。先に打ったデービーズのイーグルパットが外れた直後、ピーターセンが見事にウイニングパットをねじ込み、通算21アンダーでデービーズを1打差で振り切り、2週連続の今季5勝目を手にした。

「人生最高のパットだったと思う。本当に良かった。もし入らなかったら、悔しくて仕方がなかったでしょう」と興奮気味に話したピーターセン。飛ばし屋の元祖、デービーズを相手に、真っ向勝負して打ち勝った喜びに浸っていた。

　一方、01年以来の米女子ツアーVをあと一歩のところで阻まれたデービーズは「勝ちたかったので本当に残念。でも、今週は良いプレーができた」とコメント。「目標は殿堂入り。あと15勝も20勝もしないとね」と、44歳にしてまだまだ元気いっぱいなところを見せた。

　日本勢はアマチュアの宮里美香（興南高3年）が2日連続の3アンダー69で通算6アンダー15位タイと大健闘した。だが、対照的にプロたちは苦戦。辻村明日香が通算15オーバー56位、宮里藍が通算16オーバー57位タイと、いずれも不本意な成績に終わっている。