ミケルソンからファウラーへ。 バトンリレーのようだった全米オープン初日/全米オープンatエリンヒルズ 舩越園子の現地レポート
2017年6月16日(金)午前11:59
全米オープン初日の朝。アメリカの人々の注目は、彼らの国民的スターであるフィル・ミケルソンが出場できるかどうかに集まっていた。長女アマンダの高校の卒業式をカリフォルニアで見守った後、すぐさまウィスコンシンへプライベートジェットで飛び、午後2時20分のスタート時間に間に合うかどうか。雷雨サスペンデッドなどで試合進行が大幅に遅れる事態にならない限り、ミケルソンがスタートに間に合うことは、まず不可能だった。
「4時間のディレイ(遅延)が必要だ」と試算していたミケルソン。だが、いざ初日を迎えたとき、エリンヒルズ上空は終日快晴の予報。するとミケルソンは潔く、朝一番で欠場を決意し、USGA(全米ゴルフ協会)にそれを伝えた。
早朝7時すぎ。メディアセンターにミケルソンの意向が伝えられると、米メディアたちは小さく「オー」と落胆の声。彼らがすぐさま発した「ミケルソン欠場」の一報に、米国の人々が落胆の声を上げた。
かつては、強さと人気をタイガー・ウッズと二分し、メジャー5勝を挙げたミケルソンは、アメリカの国民的スター選手。全米オープンでは2位に6度もなりながら、どうしても勝てず、いまなお全米オープン優勝は悲願のままだ。その悲願が叶えば、メジャー4大会すべてを制するキャリア・グランドスラムの達成になる。
いや、優勝はできずとも、ミケルソンに全米オープンに出てほしい、スタート時間に間に合う奇跡を作ってほしい、姿を見せてほしいと人々は願っていたのだが、その願いは叶わなかった。