今季18試合で予選落ち11回に棄権4回のキム・シウが第5のメジャーを制した理由とは?
2017年5月15日(月)午後6:23
「ザ・プレーヤーズチャンピオンシップ」最終日、韓国の新鋭キム・シウが3バーディ、ノーボギーと完璧なゴルフで通算10アンダーで優勝。最終組のJ.B.ホームズやK.スタンリーら上位陣がスコアを崩していく中、首位に2打差の4位からスタートしたキム・シウは終始安定したプレーで大会最年少記録となる21歳の若さでビッグタイトルを手にした。ゴルフネットワークで解説を務めた内藤雄士が語るキム・シウの強さとは?
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最終日は3日目までと真逆の風が吹いたので、各選手は風のジャッジやクラブ選択を非常に悩まされました。さらにピンポジションが非常に厳しい位置に切られたので、追い上げていく選手にとってはバーディを取るのが難しいセッティングでした。「攻めると怪我をしそうだけど、攻めないと勝てない」という絶妙なホールロケーション。いかにボギーを打たずにバーディを取ることができるかが優勝争いのポイントでした。
最終組のJ.B.ホームズは前半「40」、K.スタンリーは「38」とスコアを落とす中、キム・シウは前半で3バーディ、ノーボギーの「33」とスコアを伸ばしました。後半も厳しいパーパットを打つシーンもなく全てのホールをパーで切り抜けました。
一見、セーフティーにいったように思われますが、TPCソーグラスは逃げて勝てるコースではありません。ティーショットからセカンドまでピンポイントで狙っていかないとすぐにボギーになってします。最終日がノーボギーというラウンドは精度の高いショットと素晴らしいマネジメントがあったからこその結果でしょう。
キム・シウは今季19試合に出場して予選落ち11回・棄権4回で大会前のフェデックスカップランキングは132位と全く活躍していませんでした。昨年10月の「CIMBクラシック」で10位が最高成績で、今年に入ってからは腰痛に悩まされて思うようなプレーが出来ていませんでした。今大会でも腰を押さえるシーンがよく見られました。
そのキム・シウがビッグトーナメントで優勝できた要因の1つにショーン・フォーリーという新しいコーチを迎えたことにあります。
キム・シウは身長180cm、体重83kgと恵まれた体格で、松山選手のようにしっかりとトレーニングもして体は仕上がっています。ゆっくりとしたスイングテンポでも飛距離の出る選手で、昨年の「ウィンダム選手権」で優勝するほどポテンシャルが高い。スイングバランスがゆったりとしていることで打ち急ぎがないので、好不調の波が少ない安定したプレーがストロングポイントです。
【いつもより腰を回すことで捻転差を抑えて腰への負担を減らしたキム・シウ】
今大会ではショーン・フォリーによって腰に負担をかけないスイングへ変えたことが安定したプレーに繋がったと思います。スイングテンポはこれまでと変わらないですが、肩(上半身)と腰の捻転差を抑えたことで腰への負担を軽減したことで4日間戦えるスイングになりました。
キム・シウは17歳という若さでQスクールを受けるほど、「PGAツアーの舞台へ立つ」という思いが強かった。当時は翌年からQスクールがweb.comツアーになるということで、18歳にならないと出場できないにも関わらず17歳最年少でQスクールを突破し、1年待って参戦しました。あれから4年、長年アメリカツアーで戦っているようなベテラン選手の雰囲気も漂いますが、ビッグトーナメントを制したことで世界のトップランカーとなる日も近いかもしれません。
大会最終日は5/15(月)20時から完全版をプレイバック放送!
【父親と優勝の喜びを分かち合うキム・シウ】