JGTOコースセッティングアドバイザーの田島創志を直撃!最終日のピンポジションはどうなる?
2017年4月22日(土)午後9:14
「パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ」3日目、堀川未来夢が「63」、ハン・ジュンゴン、薗田峻輔らが「65」のビッグスコアをマーク。一方で、予選ラウンドを終えて2位だった大堀裕次郎は「74」、6位の小平智は「75」で順位を落とす結果に。
コースレコードタイを記録した堀川は「3日目はピンポジションがサイドに振られて厳しくなると思ったので安全策でいった」とコメント。
そこでJGTOコースセッティングアドバイザーで今大会のピンポジションを決めている田島創志に話を聞いた。3日目のセッティングのポイント、そして最終日のプランとは?
「自分でゴルフをやっている方が100倍楽です。ピンポジションを決めるのは本当に大変です・・・」と話す裏には選手に対しても、見ている人に対してもトーナメントの『演出家』としての熱い想いがあった。
ピンがサイドに振ってあるように見えて、ご褒美のあるビッグスコアにつながるセッティング
4日間全体を見据えてピンポジションを決めていきますが、初日は出来るだけ手前のピンを使うようにしました。理由はコンパクションが出てしまう(グリーンが硬くなる)とバンカー越えのすぐ近くにピンを切った場合に寄らなくなってしまうからです。2日目は満遍なく切ったつもりです。
3日目の今日はサイドに振ってはいますが、セーフティーゾーンが見えるセッティングにしました。ほとんどのホールで傾斜の下にピンを切っていましたが、「こっちからだったら寄るな」っていう傾斜を利用した攻め方をイメージしやすい位置で狙いどころを明確にしたつもりです。
また、今日は距離が長くて難しいホールはやさしくて、パー5も全てバーディが取りやすい位置に切りました。
ピンがサイドに振ってあるように見えても。上手く狙えた選手にはご褒美があってビッグスコアにつながるセッティングだったと思います。
距離に応じたピンサイドの考え方
【パナソニックオープン3日目ピンポジション】
それでも今日は極端にサイドには切っていないと思います。(右や左のサイドから)3や4にするとピンサイドが狭くなってしまい、狙ってくる選手が少なくなります。
そのため、残り100ヤードなら4、150ヤードなら5、200ヤードだったら6といったように、距離に応じた基準を自分の中で設定しています。ピンポジションを決める上でのこだわりですね。
最終日は徹底的に攻めさせる
どの大会でも初日、2日はウォーミングアップという意味合いや予選カットラインを意識したセッティングを心がけますが、最終日は攻め続けないとダメだっていうピンポジションにします。
特に最終日のバック9はセーフティに打ったらほぼパーしか取れない位置を考えます。わずかなスペースを見つけて攻めて来た選手がバーディを取れるようにしたいです。だから明日のバック9も攻めていかないとバーディは取れないでしょう。リーダーボードも動くと思いますよ。
エンターテイメントと競技性のバランス
【パナソニックオープン16番ホール】
今大会の16番は「ギャラリーホール」という新しい取り組みをやっているので、イベント的な要素も考えます。今日(3日目)はホールインワンを演出したいと思い、傾斜の下で戻りやすいところに切りましたが、明日の最終日は段の上で非常に狭い位置になります。本当に良いショットを打たないとバーディは取れないですが、迫力はあって盛り上がると思います。
ツアー全体のレベルアップや男子トーナメントを盛り上げるために、宮里優作選手会長ともいろいろ話しています。バーディが多い方が盛り上がりますが、興行色(エンターテイメント性)を出しすぎると苦労しなくてもバーディが取れてしまい選手が育たない。
ターゲットを明確にして、どういうボールを打ちたいかを各選手が考えて、それを見ている人にもわかりやすく伝える。見た目で難しさや、狙いどころがわかりやすい方が面白いですよね。
そのために、選手がセカンドから見る景色や視聴者目線でテレビにどのように映るかなど考えて、大会前には必ずその場所に行ってチェックします。
テレビも見て欲しいし、会場にも足を運んでもらいたい。だからこそ、見て面白いセッティングにしたい。見てくれる人が熱くなってくれたら、プレーする選手も気持ちが入ります。
決勝ラウンドはスタンドに近い位置にピンを切ったりもしますよ。そこまでやらないと良い演出ができないと思っています。
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(写真:JGTO)