走るためには先走らず、マイペースと笑顔が決め手になる!?(舩越園子の2016ゴルフワールドカップ)
2016年12月5日(月)午後3:53
ワールドカップ2日目を10位で迎えた日本は、フォーボール形式の戦いで7つスコアを伸ばし、通算6アンダーで8位へ、やや順位を上げた。
前日、石川遼はこう言っていた。「(2日目のフォーサムは)お互い4つ5つずつバーディーを取って、それが違うホールにはまれば、8アンダー、9アンダーとういスコアもありえる」。残念ながら日本はその予想にはわずかに届かなかったが、彼の予想以上にスコアを伸ばしたのはトービョーン・オルセンとソーレン・ケルドセンがタッグを組むデンマークチームだった。
初日はイーブンパーと出遅れながら、2日目は前半に2イーグル、2バーディー、後半は10番からの5連続バーディーと最終18番でもバーディーを奪い、12アンダー、60という爆発的スコアをマークして一気に単独首位へ浮上した。
途中、「59」という夢のスコアをオルセンは「考えた」、ケルドセンは「考えてもいなかった」と満面の笑顔で異なる意見を口にし合った2人。初日「72」、2日目「60」と両日のスコアはあまりにも異なるが、そのワケを尋ねられると、ケルドセンは「昨日と今日で戦略や戦術は何も変えてないけど、ただ僕はこのキングストンヒースがとても好き。残りの人生、ずっとここで過ごしたいと思うぐらい」と答えていた。
コースが「好き」と思えることは、往々にして好プレー、好成績につながっていく。「好き」という感情が自ずと五感を研ぎ澄ましてくれることは、彼氏彼女を見つめる自分の視線や感覚を想像すれば、誰にも頷けるはずだ。コースを「好き」と思えばこそ、コースの良さや攻めどころが見えてくる。風や大地、あらゆるものが媒介となってコースのカンどころが伝わってくる。手ごたえが得られれば、メンタル面も自ずとポジティブになり、笑顔になり、さらにいいゴルフができる。2日目のデンマークチームはそんな正の連鎖で快スコアを作り出していた。
3打差の通算9アンダーで2位に付けた中国チームは「リラックスすればパットは入る」と信じ、「スコアを伸ばすためには、まず安全にプレーして、それから攻めていこうと思った」。マイペースと笑顔が好スコアにつながった点は、デンマークも中国も、そして3位につけたスペインも同じだった。
日本の松山英樹と石川遼、そして彼らを支える進藤大典キャディと佐藤賢和キャディを含めた4名は、大会の雰囲気やこの大会のチーム戦フォーマットにも慣れてきたのだろう。初日以上に笑顔を見せ、会話も増えている様子。チームワークがうまく取れていることが彼らの表情から伺い知れる。
2日目は松山が3バーディー、石川が4バーディーを奪ったが、松山は「2人で7バーディーは相当少ない。僕の3バーディーは納得いく数字ではない。不甲斐ない」と、やや険しい表情。その一方で石川は「あと2つぐらい行けたかなと思うけど、周りを見れば7アンダーは悪いスコアではないと思う」と合格点を付けていた。
そんなふうに2人それぞれの自己評価はやや異なってはいたが、「チームでボギーが無かったのはいいこと」というところは、どちらも納得顔で頷いていた。通常の大会とは異なる不慣れなフォーマット、不慣れな土地での戦いは、通常通りに高いスタンダードを掲げるよりも、1つでも2つでも「good」と思えるものを見つけ出し、それを大事に伸ばしていくほうが好結果に結びつきやすい。
デンマークは「コースが好き」という気持ち。中国は「攻めるためには、まず安全に」という姿勢。日本は松山も石川も、そしてファンも「フォーボールなのだから、もっと伸ばせた」と悔しがる気持ちが沸いてくるだろうが、そこをぐっと抑え、「チームでノーボギーを良しとしよう」と気持ちを切り替えることが明日以降へつながっていくのだと思う。
そう、チーム戦であれ、フォーサムであれ、フォーボールであれ、ゴルフの戦いは4日間。そして今はまだ中間地点の2日目が終了したばかり。まだまだ明日があり、あさってもある。今はデンマークが群を抜いているように見えるが、彼らだって今日1日だけでスコアを12も伸ばしたのだから、明日以降、10打以上の差がひっくり返り、リーダーボードが様変わりする可能性はいくらでもある。
通算7アンダー、4位タイに付けた米国チームのリッキー・ファウラーは「まだベストなゴルフはできていない」と振り返ったが、ジミー・ウォーカーは「明日はまた別の日。いや違う日にする」と闘志を燃やしている。米国の今週はサンクスギビングのホリデーウィーク。家族が集まる楽しい時間をあきらめ、ワールドカップにやってきたファウラーとウォーカーは「2位(以下)になるためにオーストラリアに来たわけじゃない。優勝しなければ意味がない」。
もちろん、その気持ちは出場している56人全員に共通している。勝利への渇望を残る2日、一番うまく燃やすのは、果たしてどのチームになるのか。勝敗を左右する決め手は、やっぱりマイペースと笑顔だろう。
文/舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)
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3日目 11月26日(土) 午前10:00?午後3:00※最大延長午後7:00まで
最終日 11月27日(日) 午前10:00?午後3:00※最大延長午後7:00まで
…日本に帰ってからどのぐらいゴルフをプレーするか?
しばらくはしたくないかなあって感じはありますけど、まぁでも目標のメジャーで勝つためには練習しなければいけないですから。1週間は多分できないことがあると思うんで、残りの2週間でしっかりと、カパルア(トーナメント・オブ・チャンピオンズ)でいい状態でプレーできるように頑張りたいなと思います。
…バハマはどうでしたか?
観光はしてないですけど、ここの海も本当にきれいですし、最高な気候でこうやってゴルフができて本当にうれしいというか、楽しい気分でゴルフができました。
…24歳で日本で一番の選手に上り詰め、どんな気分?
そこは何も自分が一番だとは思いません。過去にジャンボさんもそうですし、中島さんも青木さんもいますし、丸山さんもいます。色んな選手がいる中で、色んな人のプレーをみて、僕はもちろんこっちのPGAの選手も見ながらマネしながら、今のゴルフができていると思うので、一概に自分が一番とは思わないです。
…日本で一番のゴルファーになるためには?
なんだろう、わかんないけど。ジャンボさんが日本で100勝をしているのでその記録は抜けないと思いますね。
…もしメジャーで1勝したら追いつけることはできるか?
それぐらいの価値があったらいいなと。日本人はまだ勝ってないので、それぐらいの評価はしてほしいと思います。
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