ワールドカップの発展はゴルフの発展!(舩越園子の2016ゴルフワールドカップ)
2017年4月26日(水)午前10:49
いよいよ来週は、オーストラリアのメルボルンにあるキングストンヒース・ゴルフクラブで、第58回ワールドカップが開催される。日本からは松山英樹と石川遼がタッグを組んで出場するが、「ワールドカップって、どんな大会だったっけ?」と思う方もいらっしゃることだろう。まずは、ワールドカップの歴史を、ざっと振り返ってみよう。
ゴルフの国別対抗戦を開こうというアイディアが史上初めて現実化したのは1953年だった。開催地がカナダのモントリオールだったため、ワールドカップではなく「カナダカップ」という名で創設されたのだが、その始まりは参加国がわずか7か国しか集まらず、地味で小さな大会だった。ちなみに第1回大会で優勝を飾ったのはアルゼンチンだった。
そんなワールドカップの存在が初めて広く世界に知れ渡ったのは、それから3年後。英国の名門、ウエントワースで開催された1956年大会で当時の米国のスター選手、ベン・ホーガン&サム・スニード組が勝利を挙げ、米国で大きく報じられたことで、世界での認知度は一気にアップした。
その翌年の1957年大会は日本の霞が関CCで開催され、中村寅吉&小野光一が優勝。それは、日本人ゴルファーが世界に名を馳せた初めての快挙だった。
しかし、その後のワールドカップで強さを見せつけたのは、日本でも英国でもなく、やっぱり米国だった。
1963年と1964年に大会2連覇を達成し、1966年と1967年にも再び大会2連覇をやってのけたのは、アーノルド・パーマー&ジャック・ニクラスの黄金コンビ。大会名がカナダカップから「ワールドカップ」へ改められたのは、パーマー&ニクラスが圧倒的な強さを示した1967年大会のときだった。
そして、パーマー&ニクラスの黄金コンビの再現と呼ばれたのが、1992年から1995年まで4連覇を達成したフレッド・カプルス&デービス・ラブの最強コンビだった。息がぴったり合っていたカプルスとラブの見事なチームワークと見事なショット、パットは米国のみならず世界のゴルファーを魅了し、90年代のあのころは「ワールドカップといえばカプルス&ラブ」と言われたほどだった。
そんな最強コンビを上回る強さと謳われ、史上最強コンビと目されたのが、2000年からタッグを組み、すぐさま勝利を挙げたタイガー・ウッズ&デビッド・デュバルの2人だった。
その翌年、ワールドカップは初めて日本へやってきた。会場となった太平洋クラブ御殿場コースには、ウッズやデュバルをはじめ世界各国から訪れた当時のスター選手たちが一堂に会し、日本からは丸山茂樹&伊澤利光コンビが出場した。あの年の御殿場は寒波に見舞われ、体の芯から凍りそうな寒さだった。だが、会場に詰め掛けた日本のゴルフファンは、初めて間近に見るウッズやデュバルの一挙一動に釘付けとなり、「背が高いねえ?」「ものすごいヘッドスピードだ!」「ドライバーの弾道がこんなに高いのか?」と、ただただ驚きの声を上げていた。
大混戦となった優勝争いの大詰めでウッズが奇跡のようなチップイン・イーグルを決め、4か国によるプレーオフへ持ち込んだ瞬間の大観衆の興奮とどよめきは、日本のゴルフヒストリーの中で最大級だったのではないだろうか。
そういえば、かつてワールドカップを席巻したパーマーは、生前、こんなことを言っていた。
「ワールドカップの発展と世界におけるゴルフの発展は同義語だ」
まさに、あの御殿場のワールドカップで日本のゴルフファンが味わった興奮は、以後の日本におけるゴルフの発展へつながっていったのではないかと私は思う。大会が創設されて以来、半世紀以上の日々の中で、ワールドカップはゴルフに理解を示す世界各国の大統領や首相たちからも様々な形でサポートを受けている。
先ごろ、米PGAツアー会長の座を辞したばかりのティム・フィンチェムは、当面はジェイ・モナハン新会長を“先輩"として支えていくそうだが、その一方で、まだまだ実現させたいと願っている自らの夢やロマンを追いかけ続けていくという。その1つが「もう1度、ワールドカップを日本で開きたい」なのだそうだ。
今年の大会開催地はオーストラリアだが、出場する28チーム、56人の中で最大の注目を集めているのは日本の松山英樹。そして優勝候補の筆頭は日本チームだ。表彰式で日の丸が揚がり、松山と石川が優勝カップを日本へ持ち帰れば、それは日本の喜びになるだけではなく、フィンチェム前会長の夢の実現にも近づき、ワールドカップの存在意義そのものの向上にもつながっていく。
だからこそ、今年のワールドカップには世界の興味と関心が向けられている。とりわけ、松山&石川の日本チームに注がれる期待と注目は大きい。
文/舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)
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