3年前と今、石川遼が米ツアーで成長した姿「メジャーの舞台に立てないという悔しさ」
2015年6月18日(木)午前7:00
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「そんなに出てなかったかな・・・」
全米オープン予選会で本戦出場権を掴んだ石川遼は自身3年ぶりの全米オープン出場をこのように語っていた。
石川流の喜びを表したジョークなのか、それとも石川にとってこの3年という月日が濃密で、長くも短く感じる3年であったということだろうか。
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国内ツアーの勢いそのままに全米オープン初出場
(写真提供:Getty Images)
石川が初めて全米オープンに出場したのは2010年のペブルビーチで開催された大会だった。
前年に国内ツアーで年間4勝を挙げ、史上最年少18歳で賞金王に輝いた石川は、日本ツアー賞金ランキング上位2選手の資格で出場した。全米オープン前の国内ツアー「中日クラウンズ」では58の世界最小ストロークで優勝という快挙を成し遂げた年でもあり、当時の石川には勢いがあった。
予選ラウンドではトム・ワトソン、ロリー・マキロイ(北アイルランド)ら注目選手とのペアリングとなったが、難コースペブルビーチを相手に予選ラウンドをトップと2打差、1アンダーの2位タイで終えた。3日目には全米オープンのタフなコースセッティングにボギー先行の苦しいラウンドとなるが、通算3オーバーで踏み止まり7位タイで最終日へ。最終日はペブルビーチ特有の強風にも苦しめられ、「80」(+9)と大きくスコアを崩し、通算12オーバーの33位タイで終えた。
翌年のコングレッショナルGCで開催された全米オープンはワールドランキング50位以内の資格で出場。
全米オープン2年連続出場となったこの年は、初日で3オーバー62位タイと出遅れたものの、2日目に1つスコアを伸ばし通算2オーバーで二年連続の予選突破を果たした。3日目に3つスコアを落とし48位に後退するものの、石川は粘り強い懸命なゴルフを見せ、最終日に全米オープン初となる「68」をマークし、前年を上回る30位タイでフィニッシュ。
(写真提供:Getty Images)
続く2012年のオリンピックCで開催された全米オープンにはワールドランキング60位以内の資格で出場。
この年の3月にはPGAツアー「プエルトリコオープン」で2位に入るなど、翌年の出場権を手中に収めていた石川。PGAツアー本格参戦を見据えて望んだ全米オープンでもあった。
初日は1オーバー、15位タイと上々の滑り出しを見せた。ところが2日目は初日と打って変わって大荒れのゴルフで「78」(+8)とスコアを落とし、通算9オーバーでカットラインに1打及ばず予選落ちを喫した。
PGAツアー本格参戦での経験
(写真提供:Getty Images)
翌2013年より米ツアーへ本格参戦。この年から全米オープンへの出場機会を失っていた。
この3年間、PGAツアーという厳しい環境に身を置き、自らを鍛えてきた。
本格参戦一年目の2013シーズンは23試合に出場して10試合の予選落ちを喫するなど苦しいシーズンに。最終結果はFEDEX CUPランキング141位でレギュラーシーズンでのシード獲得はならず、下部ツアー(web.com TOUR)との入れ替え戦に進み、翌シーズンの出場権を獲得した。
土壇場でツアー出場権を獲得し望んだ2013-14シーズンでは開幕2戦目で2位タイに入ると、3月までにトップ10入り3回と早々にシードを確実なものにした。その後は予選落ちなど結果の出ない日が続いたが、FEDEX CUPランキング75位でプレーオフシリーズにも出場した。
下部ツアーとの入れ替え戦、プレーオフシリーズ出場と確実にステップアップしてきた石川。
メジャーにこだわるレベルには無かった
(写真提供:Getty Images)
“今年こそはPGAツアー初優勝"という目標を掲げて挑んだ米ツアー3年目のシーズン。
10月の開幕戦こそ19位タイと上々の滑り出しを見せたが、年を挟んで1月に入ると4試合連続予選落ち。
「この3年間、メジャーの舞台に立てないという悔しさはあったけど、それと同時に自分の中でメジャー出場にこだわれるレベルになかった。」と予選会後に語っていたように、現在の世界ランキングは158位と、全米オープン圏内の60位以内にはほど遠い順位だ。
それでも石川遼はメジャーへの挑戦を諦めなかった。
「自分よりPGAツアーで成績を残しているメンバーがたくさんいる中でもまれて、通過できたのは嬉しい。」と語ったように、過去のPGAツアー優勝経験者も多数出場する強豪揃いのオハイオ会場の予選会に挑戦し、見事に出場権を手にした。
3年ぶりの全米オープンへ
(写真提供:Getty Images)
ショットの不調に喘ぐ石川に一筋の光が見えたのが5月に開催された「ザ・プレーヤーズ選手権」。
同大会初出場となった石川はTPCソーグラスの地で輝いた。TPC大会前に米ゴルフチャンネルにのインタビューに対して「今の調子はあまり良くありませんが、PGAツアーでプレーできることが嬉しい。日本の期待を背負っている意識は無いし、プレッシャーもない。自分自身、そしてファンのためにプレーしているんです。同い年で友人であり、ライバルでもある・・・いや今はライバルなんて言える立場ではないですが、松山英樹と優勝争いをしたい。」と流暢な英語で応えてたい石川の言葉が印象的だ。
苦しい3年目のシーズンを戦う中で、自分自身を冷静に見つめながら、決して下を向くことはなく自分の道を進んでいく姿に、この3年間の成長と心の変化を感じた。
結果は今季初のトップ10入りとなる8位タイ。実に昨年3月の「アーノルドパーマーインビテーショナル」以来のトップ10入りでもあった。
予選会では「ちょっとづつ積み重ねてきたことが出来てきた。」と課題としていたショットにも手応えも。
現在FEDEX CUPランキング126位の石川にとって、プレーオフシリーズ進出に向けてメジャーは重要な大会でもある。
日本ツアーでの成績により出場できた過去の全米オープンとは違い、米ツアーに本格参戦し、予選会という険しい道をくぐり抜け自力て勝ち穫った出場権。
3年前とは違う石川遼がU.S.OPENの地にいる。
ゴルフネットワークで連日放送中のLIVE FROMのインタビューに応じた石川は開催コースについて「通常の全米オープンよりフェアウェイが広いけど、グリーン回りが難しい。グリーンの傾斜を使うショットが要求される。打ち上げも打ち下ろしもあるので、ボールが落ちてからどのように転がるのか最後に止まるまでの想像力が必要。ボギーは出てしまうコースだからスコアが伸びにくいと思う。一日でバーディを4つ、5つ取ってパープレーを目指したい。」と語った。
(写真提供:Getty Images)
100Y?125Yのショットの精度がPGAツアー1位とアプローチ、ショートゲームの上手さに定評のある石川が、難コース「チェンバーズベイ」を相手に持ち前の"想像力"で、この3年間の成長の証を見せてくれることに期待したい。
日本時間6/19(金)5時22分に10番ホールよりティーオフ。
石川遼、4度目の全米挑戦がはじまる。
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